電子掲示板上の差別書き込み事象も含め、インターネット上に横行・氾濫する差別情報は、言うまでもなく、差別落書き・差別投書・差別電話等と何ら変わりない現実の差別事象である。
ましてや、今日の高度技術情報社会にあって、インターネットの特性や、国民の過半数を超える利用率から見て、人々に与える影響度は計り知れないものがあり、この事象はまさに人間の尊厳を侵す極めて深刻かつ重大な人権問題である。
したがって、これは直接的当事者間の問題だけではなく、けっして見過ごしできない重大な社会問題である。
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参加者一同による五つの決議
今、わたしたちの社会では、インターネットが急速に普及し、家庭・職場・学校のパソコンや、携帯電話などを窓口として、大変身近なものになってきています。
今までは考えられなかった、大量の情報をやり取りすることが可能となり、また、個人が不特定多数の人々に向かって自由に意見を発信できるようになりました。
インターネットは、場所や時間、年齢、性別、国籍などさまざまなものを超えて、世界中の「人」と「人」をつなぐ画期的なシステムで、近代社会にはなくてはならないものとなっています。
しかしながら、一方で、インターネットの特性である「自由」を悪用し、「匿名」を隠れ蓑にして、ネット上の掲示板などへ有害情報を流したり、個人や団体を誹謗中傷したり、差別書き込みを繰り返して差別を助長・煽動するといった事象が頻発し、個別の人権侵害が日常的に横行しています。
これらは、憲法で保障されている「通信の秘密」を隠れ蓑に「表現の自由」を盾とした、見過ごすことのできない人権の侵害にほかなりません。
インターネットにつながった端末の前には必ず「人」が存在しています。現実の社会で許されない行為は、インターネットの世界でも決して許されるものではありません。
このようなインターネット上における差別書き込みなど、人権侵害行為を許さないためにも、次の取り組みが必要です。
①インターネット掲示板の差別書き込みを許さない世論を高め、全国的な機運とうねりをつくること。
②人権侵害にかかわる書き込みに対して削除要請を強く求めていくこと。
③悪質な書き込みに対して法的手段をとること。
④より確かな法的整備を求めること。
⑤差別書き込みに対して勇気をもって反論する輪を広げること。
わたしたちは、インターネット上における人権侵害行為を許さない、「基本的人権」が尊重された社会の実現をめざし、以上の取り組みを進めていくことを決議します。
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年・回数 | テーマ |
2004年 第1回 | これでいいのか 「表現の自由」 ~何でもありのインターネット掲示板を斬る~ |
2005年 第2回 | これでいいのか 『情報化』社会~「ケータイ」電話をめぐる有害情報を斬る! |
2006年 第3回 | 高度技術情報化社会の“光”と“影”~人権侵害の現実は今~ |
2007年 第4回 | これでいいのか 『メディアリテラシー』 ~混迷するインターネット社会を斬る~ |
2008年 第5回 |
これでいいのか 「ケータイ」時代
~何でもありの〈学校裏サイト〉・〈プロフ〉を斬る~
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2009年 第6回 | これでいいのか “人権感覚” ~何でもありの情報化(ネット)社会を斬る~ |
2010年 第7回 | これでいいのか “ネット社会” ~子どもやくらしに迫る闇と影を斬る~ |
2011年 第8回 | これでいいのか インターネット・ケータイ時代 ~「影」を「光」に~ |
2012年 第9回 | これでいいのか インターネット社会 ~進化する高度情報技術の暗闇に迫る~ |
2013年 第10回 | これでいいのか ネット社会の“今” ~確かめあいましょう たいせつな「人権」を~ |
2014年 第11回 | これでいいのか ネット社会の現実は ~スマートフォンの光と影を追う~ |
2015年 第12回 | インターネットをはじめ個別の人権侵害の今を斬る ~「同対審」答申50年の軌跡~ |
2016年 第13回 | ネット社会 拡大する人権侵害の今を斬る! ~人と人との豊かなつながりを求めて~ |