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2024年11月

“毎月11日は「人権を確かめあう日」”を推進しよう

みなさんは、「キーストーン」という言葉を聞いたことがありますか。アーチの頂上部分にある建築要素で、要石(かなめいし)や楔石(くさびいし)、せりもち石などとよばれる石のことです。周囲の建材が崩れないように締める役目を持つ、構造上非常に重要である石のことです。この「キーストーン」がないと構造全体が崩壊するとまでいわれる、なくてはならないものなのです。
さて、このことを組織に当てはめてみると、「キーストーン」とは、やはり人と言うことになるでしょうが、人あっての組織ですから、人と同じくらい大切にしているものということではないでしょうか。
市町村「啓発連協」は、結成から37年目の歩を進めています。多くの人に支えられ今日に至っています。その中で、「キーストーン」といえば、“毎月11日は「人権を確かめあう日」”という組織の柱になる取り組みです。この活動を何よりも大切にしながら、市町村とともに、日々行政啓発を展開しています。
私たちの身近にある差別や偏見などをなくしていくこと、お互いの人権を守り大切にする社会をつくっていくことは、一朝一夕にはいきません。毎日毎日の活動の積み重ねが、めざす「人権のまちづくり」に結びつくものと信じています。
市町村「啓発連協」のキーストーン」である、“毎月11日は「人権を確かめあう日」”をこれからもしっかりと取り組んでいきます。

2024年10月

置かれた場所でベストを尽くす

“一隅を照らす これ則ち国宝なり”
今から1200年余り前に天台宗を開いた最澄の有名な言葉です。知っているという人も多いかと思います。意味は、「みんなが気が付かないような片隅で、社会を照らしているような人が、宝なんだよ」という。たとえ注目されなくても、自分の置かれた場所でベストを尽くすことが大切であるということです。
私たちは社会を構成する一人として、この言葉のように常にベストを尽くすことが大切です。改めて自らに問いたいものです。
そと見ではわからないけど、人は常にどこかで切磋琢磨して、自分の置かれた場所で光を放っている。そのことがとてもすばらしい尊いことだと、最澄の言葉から感じます。
「啓発連協」は、37年前から“毎月11日は「人権を確かめあう日」”の取り組みを進めています。すべての人の人権が尊重される社会「人権のまちづくり」をめざして、市町村とともに啓発活動を推進しています。
「人の世に熱あれ 人間に光あれ」と高らかに謳った「水平社宣言」から102年、多くの人たちの努力にもかかわらず、今も差別の現実はきびしいものがあります。インターネットによる悪質な差別や誤った情報の発信が増加しているのです。
私たちは、人間が尊重される社会をつくるために努力を続けていかなければなりません。そのために私ができることにベストを尽くしていきたいと思います。
「一隅を照らす」1200年の時を超えて輝くこの言葉をかみしめて、引き続き人権啓発活動に邁進してまいります。

2024年9月

ぜひ、子どもたちのために

過日、県内のある小学校の先生が「啓発連協」事務局に訪ねて来られました
「啓発連協」で作られている啓発ポスターを一部いただけないかということでした。詳しく聞くと、「授業で子どもたちに、命や人権の大切さを説明するのに、何かいい教材がないかと考えていたところ、たまたま見た啓発ポスターに、これだと思った」とのことでした。
その啓発ポスターとは、下図のように、数字の11を背景として、毎月11日は「人権を確かめあう日」、「人は等しい」そして、シーソーに乗った「てんいち先生とひかりちゃん」(啓発連協の人権マンガのキャラクター)で構成しています。命や人権の大切さを簡潔に伝えるために考案された啓発ポスターです。
「先生、子どもたちの授業にぜひ使ってください。このポスターがお役に立てばほんとうにうれしいです」このような会話を交わしました。
「啓発連協」は、日頃、市町村とともに、地域に暮らす住民の方々を対象に啓発活動を行っています。つまり、ほとんどがおとなと言うことになります。しかし、今回の話のように学校教育の場で子どもたちの受業で、「啓発連協」のひとつの資料が教材として、子どもたちに見て考えてもらえることは、何ものにも変えがたい喜びです。
「啓発連協」では、今回の学校での話を励みとして、これからも“毎月11日は「人権を確かめあう日」”に取り組み、ひとりひとりが大切にされる社会「人権のまちづくり」に邁進してまいります。どうかよろしくお願いします。
【毎月11日は「人権を確かめあう日」は、1965年8月11日に「同和対策審議会答申」が、出されたことを記念して設定されました。】

2024年8月

人権のまちづくりに向って・・・

先日、ある人権研修会での講師の話。
「人生とは不安を解消しながら生きることであると思います。そして、その不安を人は学びや経験を積むことで取り除いてきたと考えます。しかし、このような不安を、差別をすることで解消する行為も一方であるのです。」
社会にあるさまざまな差別が、このようなことで起きているとしたら、ほんとうに残念でなりません。私たちは、差別を解消するためには、「学びと出会いが大切である」との考え方も学んできました。人権尊重を根底にした、人と人との豊かな関係性が、差別をなくしていくためにはとても大切なことです。
「啓発連協」では、1988年の結成以来、「差別をなくすには、人々の意識と社会を変える必要がある」との思いで、“毎月11日は「人権を確かめあう日」”の取り組みを進め、身のまわりの差別や偏見に気づき、なくしていく行動へとつなげ、人権尊重の社会的雰囲気を醸成してきました。
差別は悪意によって起こると認識されることが多いですが、実際には悪意がなくとも起こるのです。つまり、差別問題の歴史や教訓、差別の現状に対する「無知・無理解・無関心」等から生じ、悪意がないので自分が差別しているとは気づかないのです。
しかし、今はこのような問題に対しても「それはおかしい、いじめだ、パワハラだ、虐待だ・・・・・」の声が上がる時代になってきました。それは、多くの人々の長年の差別をなくす取り組みと人権問題に関わる法律や条例等が次々と整備され、社会の人権基準と人権意識の高まりがあると思います。
「啓発連協」では、これからも“毎月11日は「人権を確かめあう日」”の取り組みを進め、人権を根底とした、人と人との豊かな関係性を築くことができる「人権のまちづくり」に向けて努力を続けてまいります。どうか、よろしくお願い致します。


2024年7月

”隙間”からの発想の転換

発想や思考の転換は、どうすればできるのか。日々考えていてもそう簡単にはできないと思います。「啓発連協」が結成されて37年、そもそもこの組織を作ろうと考えた先人の発想や工夫そして行動に今更ながらに敬服します。
「必要は発明の母」などと言いますが、差別や人権侵害がどうしてなくならないのか。
何がこれまでの取り組みにおいて足らなかったのか。何が不十分であったのか。「啓発連協」が作られる前には、喧々諤々の議論があったと当時を知る人たちは言います。そのような過程を経て、今日、行政が中心になって進める「啓発」という分野が確立されて結成された「啓発連協」は、全国でも他に例のないと言われる組織として活動しています。
奈良では、人権について語る時、「啓発・教育・運動」という言葉があります。「啓発連協」が結成されたことにより、この3者の役割がより明確になり、それぞれが連携して活動する意義も大きくなりました。
それにつけても、世の中を変えていくのはどのような人なのか、そこにどのようなエネルギーや経験、また発想や行動力があるのか知りたいと思います。「物事にはどこかに“隙間”があるものだ。それを見つけて広げていけばいい。それが発想であり工夫だ」と指南してくれた大先輩の言葉は今も忘れられないが、その隙間が見つけられないもどかしさを感じながら活動を続けています。
日常の中の「前提」や「暗黙の了解」に少し「はて?・・・」と疑問を持つことがいいのかも知れません。自らが立っているところにヒントがあるかもしれません。


2024年6月

「啓発連協」?

6月となり、今年も入梅の便りが届く季節となりました。大雨や台風など災害には十分に気をつけて過ごしていきましょう。
さて、市町村人権・同和問題「啓発連協」は、先月37回目の総会を開催しました。奈良県内市町村が結束してこの組織を結成してから36年が経ち、行政や関係機関では、私たちについての認知も広まっていると思っていました。
しかし、先日ある行政機関との間で、「『啓発連協』? ちょっと存じませんが・・・」と言う、残念なやり取りがありました。
「啓発連協」では、毎月11日は「人権を確かめあう日」の取り組みを何よりも大切にしながら、啓発活動を広く展開しています。一人でも多くの人に、差別問題、人権問題を知ってもらいたいと結成以来長年にわたって、行政啓発に尽力してきました。
でも、もっともっと、がんばらなくてはならない、インターネット、SNS時代の中で、啓発の方法ももっと工夫していかなければ、と強く思う出来事でした。
一方で、高等学校の先生から、「『啓発連協』ホームページに載っている人権キャラクターのてんいち先生ひかりちゃんを人権啓発に使ってもいいですか」という問い合わせがありました。「どうぞ、使ってください」と返す声も自然と大きくなっていました。
私たちは、これからも奈良県内の市町村とともに、確かな歩みを続けていきたいと思います。
どうか引き続き「啓発連協」をよろしくお願い致します。


2024年5月

互いに補い支え合って生きる

5月ももう半ばが過ぎてしまいました。今年のゴールデンウィークには、大変多くの人が国内で移動し、また、とても多くの外国人観光客が日本を訪れたといいます。コロナウイルス感染症が5類に移行されてちょうど一年になります。暮らしの中のあちこちで、かつてのにぎわいが戻ってきたように感じます。
ところで今はインターネット、SNSが主流の時代です。スマホがなくては片時も我慢できない、過ごせないという人たちが多くいると思います。家庭内でも対面での会話が少なくなってきているのです。人は互いに補い支え合って生きています。人と人とのつながりの中で生活し生きているのです。人のつながりには、心のつながりが必要でとても大切です。
しかし、コロナ禍の間は、ほとんどの状況でこの対面での活動がストップしていました。テレワークやズームを使った勉強、会議や研修などが主流でした。でも、人は人と出会って顔を見て話をしてつながりや絆を確認して、生きている実感が持てるのではないでしょうか。かつての状況がやっと戻ってきた今、新緑のさわやかな季節の中を出かけてみて、親しい人たちと交流を深め合うのもいいと思います。
薄れかけていたつながりや絆をもとにもどしていきましょう。暮らしやの中に温かいさわやかな風を吹かせましょう。


2024年4月

これからも確かな歩みを続けていきます

4月になり新たな年度が始まります。「継続は力なり」という言葉があります。なにごとも続けていくことが大切です。いかに続けていくか、努力をしていくか、それに粘り強さや根気が必要です。
「啓発連協」は結成されて37年目に入りました。もう37年なのか、いやまだ37年なのかとも思います。行政啓発によって、人権侵害を許さない社会的雰囲気を高め、すべての人々の人権が尊重される社会実現に向けて取り組んで来ました。とりわけ、“人は等しい”を合言葉に進めてきた、毎月11日は「人権を確かめあう日」の取り組みは、今年36年目を迎え、広く人々に浸透してきたのではないかと考えています。
また、おなじみの人権キャラクター「てんいち先生」と「ひかりちゃん」は、毎月、市町村から発行される広報誌に掲載されているため、多くの人々に認知されていると思っています。「まんが」を通して、人権を考えてもらえればと願い作成しています。ぜひ一度ご覧ください。
このように日々の活動を積み重ねてきて今日に至っています。「啓発連協」は、全国でも他に例のない組織と言われています。これからも行政が進める啓発に特化した組織として、人権が尊重される社会の実現に向けて、粘り強く取り組みを進めてまいります。奈良県においては、60年、100年以上にわたって、差別をなくし人権を大切にしようと活動している関係機関・団体があります。その機関・団体との連携・連帯をこれからもさらに深めながら、確かな歩みを続けていきたいと考えています。
どうかこれからも「啓発連協」をよろしくお願い致します。

2024年3月

やらなきゃいけないことには意味がある

過日テレビを見ていると、あの大国 中国の国道(318号)で、体全体を地面につけて祈りをする人たちと出会い、インタビューをする場面がありました。この国道は中国の上海から西にチベットを越えネパールまで伸びる、全長約5500Kmに及ぶ中国最長の国道です。途中には標高5000Mを超える峠や断崖絶壁が迫る苛酷きわまる難路のようです。この道をヒッチハイクで旅をする番組記者が、途中でたまたま出会った、五体投地(体全体を地面にこすりつけて祈る)をする人たちにインタビューをする場面がありました。
「どうしてこのようなことをしているか。どこからきてどこに行くのか。」と聞くと、「上海を出て4年程になるが、今こうしてお祈りをすることが大切で、いつまでにどこに向かうなどは関係ない」との答えが返ってきました。ただひたすら祈る旅を続けて4年、約4000Km程のところを進む巡礼者たちでした。
この場面を見て、あなたは「何のために生きるのか」を問われたようで一瞬魂が固まったように感じました。私たちは生活の中で、ふと、日々の行動が、今していることが何になるのかなどと思ったり考えてしまうことがあると思います。そのことで、時には悩むことも苦しむこともあります。
しかし、この番組を見て私は、人は、何かにただひたすら打ち込むこと続けることが大事ではないかと感じました。やらなきゃいけないことには意味があります。その意味は何かと考えて、どうしても必要ならやるしかないわけです。多忙な日々でしょうが、少し立ち止まって、日々のことや人生のことを考えてみることも必要ではないかと思いました。


2024年2月

願いの実現に向けて歩もう!

2024年は始まってすぐに大地震があり、今もきびしい寒さのなか多くの人々が避難生活を続けておられます。また、世界ではウクライナでのロシアによる侵略戦争が2年を迎えようとしています。さらにパレスチナ・ガザでのハマスとイスラエルとの紛争も全く出口が見えない状況が続いています。
このような中で昨年の12月10日、世界人権宣言が採択から75周年を迎えました。人権は私たちが生まれながらに持つ人間として生きるために欠かせない権利です。命、人権、平和について世界の人々が認識を新たにするための年でもありました。
しかし、現実はきびしいと言わざるを得ません。私たちは歴史とどう向き合い、歴史から何を学んできたのか、今一度考えたいものです。
かつて私たちは、「21世紀は人権の時代だ」と宣言してきました。そして23年が経過した今、身のまわりの状況を見つめた時、「すべての人を大切にする社会」、「すべての人が安全で安心して暮せる社会」、「すべての人が真に尊重される社会」が宣言したように実現できているかと考えてしまいます。
「啓発連協」は、35年前から“人は等しい”を合言葉に、毎月11日は「人権を確かめあう日」に取り組んで「人権のまちづくり」をめざしてきました。私たちがめざしてきた社会(人権のまち)は、必ず実現しなければなりません。そのためにこれからも、毎月11日は「人権を確かめあう日」を基軸にした行政啓発に一層がんばっていきたいと思います。
引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。

2024年1月

その思い大きく成長させていきましょう!


新年明けましておめでとうございます。本年もどうかよろしくお願いいたします。
さて、今年は年明け早々から能登半島を震源とした大地震が起きました。多くの人命が失なわれ甚大な被害が出ていることに、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
災害はいつどこで起こるかわかりません。まして地震は突然にやって来て甚大な被害を及ぼします。けっして他人事ではありません。日頃から災害に備えることが大切です。また、非常時の時こそ人間は助け合うことが重要です。日頃からの人と人のつながりがお互いのいのちを救うことになると考えます。
市町村人権・同和問題「啓発連協」は、今年も毎月11日は「人権を確かめあう日」を活動の柱として、一人ひとりのいのちと人権を守るために活動をしてまいりたいと考えています。人と人のつながりの根底には、お互いを尊敬する気持ちがなくてはなりません。このことを大切に今年も大いに頑張りたいと思います。
災害は忘れた頃にやってくるといいますが、過去の貴重な経験や記録などに十分に学び、いざという時には生かしていきたいものです。同時に日頃からの人と人の確かなつながりを力にして乗り越えていきたいものです。
今年は辰年です。辰年は物事のはじまりを象徴して、万物が成長して動きが盛んになるといわれているそうです。いよいよ2024年がスタートしました。年頭にあたり一人ひとりに今年の計画や思いがあることでしょう。その思いを大きく成長させていただきたいと思います。
どうか今年も市町村人権・同和問題「啓発連協」にご支援ご協力をいただきますようよろしくお願い致します。

2023年12月

自分を好きになること、自分を大切にすることが・・・

12月となり、2023年もいよいよ残り1ケ月となりました。
さて、1948年12月10日、「世界人権宣言」が採択されました。これを受けて、日本では1949年から毎年12月は4日から10日まで「人権週間」です。
人権、命、平和について強い関心をもって考えなければなりません。今、世界のあちこちで、人の命が簡単に奪われる戦争や紛争が起こっています。75年前に世界大戦の痛烈な反省からつくられた「世界人権宣言」の精神は、どこへ行ってしまったのでしょうか。繰り返される人間の「愚かな行為」に言葉がありません。私たちは、歴史に何を学んできたのでしょうか。
また、今、私たちの身の回りでは、インターネット上の差別書き込みや子ども、女性、障がい者、高齢者などへの虐待、DVやセクハラなどの人権問題がきびしく存在しています。改めて、一人ひとりが大切な命と人権について考えなければなりません。
ある人権活動家は、自分を好きになること、自分を大切にすることが「人権の核」であると考えると話しています。そのことがまわりの人も大切に思い、まわりを幸せにするのだと話しています。
誰もが生まれながらに基本的人権を持っています。だから誰かが人権を侵害されていれば、それは、私やあなたの人権が侵害されているのと同じです。一言でも「それはおかしい」の声を上げることが大切です。沈黙は共犯と同じです。
「啓発連協」は、一人ひとりの声がきっと社会を変えると信じ、命と尊厳を守り、誰ひとりと入り残さないために日々の活動にこれからも鋭意取り組んでいきます。
どうか来年もよろしくお願い致します。

2023年11月

人権の灯台!

11月に入りました。しかし、今年は温暖化のせいでしょうか、夏のような暑い日が続いたり、真夏の花がまだ咲いていたり、桜の花が開いたりと気候が定まらないようです。みなさんには、充分に体調に留意してお過ごしください。
さて、みなさん11月1日は「灯台記念日」であることをご存知でしょうか。日本で初めて、洋式灯台が神奈川県横須賀市の観音埼 (東京湾の入り口) 安全な航行に大きな役割を果たしています。まさに船の「道しるべ」です。
ところで、「啓発連協」では、この記念日にヒントを得て、以前に人権まんが「てんいち先生」に掲載しました。 そのまんがにも書いている”毎月11日は「人権を確かめあう日」”が、1989年の「啓発連協」が提唱、設定から今年35年目を迎えました。
「啓発連協」では、35年にわたって各市町村とともに?人は等しい” 毎月11日は「人権を確かめあう日」を基軸とした数々の取り組みを進めてきました。この活動は、まさに社会に立つ?人権の灯台”として、人権の光と熱を多くの人に届けて来たのはないかと思っています。しかし、今も私たちのまわりには、多くの差別や人権侵害がきびしく存在しています。それ故に、「人権の灯」は今以上に強く輝くものにしていかなければなりません。
多くの船がどんなに最新鋭の航海機器を備えていても、最後は人が灯台の灯を見て、位置を確認するのだといいます。
「啓発連協」は、これからも?人権の灯台”を強く輝かせ「人権のまちづくり」に向けてがんばっていきますので、どうかよろしくお願いします。

2023年10月

「啓発連協」誕生! 時代が求めたものとは

「啓発連協」は、今年結成36年目を迎えています。1988年に「部落差別撤廃等あらゆる人権侵害の解決に向けた行政啓発活動の推進体制を確立し、実践活動の強化をはかること」を目的に結成されました。
そもそも組織というものは、これまでの例を見てもわかるように、その時代の問題を正していくために組織され結成されてきたといえます。その例に漏れず「啓発連協」は、きびしい差別の現実を切り拓いていくためにつくられた組織です。
ふり返ると、「啓発連協」が誕生した1980年代は、奈良県内において多くの差別事件や事象が次々と起こっていました。行政や人権団体、運動体などが、懸命にその解決に向けて取り組んでいました。その過程において、多くの人たちがこれまで長い時間をかけて差別や人権侵害をなくすために活動をしてきたにもかかわらず、なぜ、差別事件や事象がなくならないのかという考えや思いが、関係者の間で共有されるようになりました。
そこで出された結論が、行政総体がもっと主体的に差別や人権問題に関わり、取り組む必要があるということでした。こうして結成されたのが「啓発連協」です。
このように考えてみると、長年続いている組織というのは、その設立当時の時代的背景が大きく影響していたことが分かってきます。つまり、時代が必要な組織をつくってきたのだということです。時代が求めたものが形になったと実感します。
その時から36年、「啓発連協」は、行政啓発による差別撤廃と人権確立の歩みを進めてきました。これからも、毎月11日は「人権を確かめあう日」の取り組み、インターネットステーション活動やなら・ヒューマンフェスティバルなど、県や市町村と共に進めて来た活動をさらに確かなものにして、「啓発連協」が時代をつくっていかなければならないと考えます。
引き続き啓発活動に邁進してまいりますので、どうかよろしくお願い致します。



2023年9月

改めて、自らに問う人権意識

ご承知のように、9月1日は「防災の日」と定められています。1923年に発生した関東大震災に因んでいます。あの関東大震災から今年は100年という節目になります。
地震による家屋の倒壊や火災などにより、10万人以上の人々が犠牲なるなどして甚大な被害となりました。この時、混乱が広がる中で人々がパニック状態になり、悪質なデマが流され、それを信じた人々や自警団によって、多くの朝鮮の人々や外国人が殺害されるという事件が起こったのでした。朝鮮の人々に対する無理解や民族的な差別意識(排外主義)が存在する当時にあって、大災害に乗じて流された悪質なデマが、このような悲惨な事件に強く影響したと考えられます。
さらに、震災の5日後、千葉県福田村(現野田市)でたまたま香川から訪れた薬売りの行商団が、話していた方言から朝鮮の人々と疑われ、地元の自警団などに襲われ殺害されるという痛ましい事件が起こりました。被差別部落の人たちがきびしい差別の中で、生計を立てるため全国を行商していた最中の出来事でした。
関東大震災から100年が経った現在でも、ひとたび事が起きれば混乱に乗じて悪質なニセ情報が流される現状があります。しかも、今は当時と違ってSNSなどを悪用して、文字だけでなく写真や動画などを使って、人々を混乱に落とし入れるような情報が流されるのは周知のとおりです。残念ながら21世紀の現在も人々の中に、外国人や被差別マイノリティーの人々に対する予断や偏見、差別意識が存在します。
「啓発連協」は、このような負の意識を変えていくために、1989年以来35年にわたって、「人は等しい」を合言葉に‟毎月11日は「人権を確かめあう日」‟を基軸にさまざまな啓発活動に取り組み、人権意識の高揚に努めています。
災害はいつやってくるかわかりませんが、100年前に起こったことは決して他人ごとではありません。私たちの中に、当時の人たちが抱いたような差別意識や集団心理が起こらないとは言えません。強く自らに問いかけながら、人権意識の高揚に努めていきたいものです。

2023年8月

‟毎月11日を「人権を確かめあう日」”設定35年

今年も、はや8月に入りました。
8月は、いのち、平和、人権に因む記念日が多くあります。
その中で、今回は、市町村人権・同和問題「啓発連協」が、1989年提唱し設定された毎月11日は「人権を確かめあう日」が設定35年を迎えたことについてお話をします。
1965年8月11日に「同和対策審議会答申(同対審「答申」)」という文書が、国によって出されました。この同対審「答申」の前文には、『同和問題は人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であり、日本国憲法によって保障された基本的人権にかかわる課題である。したがって、審議会はこれを未解決に放置することは断じて許されないことであり、その早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民的課題である』と書いています。この文書(同対審「答申」)が基点となって、部落問題の解決に向けた本格的な取り組みがスタートしたのです。
この同対審「答申」の精神を行政啓発活動に生かしていくために、当時の担当者(啓発連協事務局長)は、同対審「答申」が出された8月11日に焦点を当て、「11」の「1」(ひと)を「1」(人)と読みかえ、さらに「11」を横にすると「=(イコール)等しい」になることから、「人は等しい」を考え、‟毎月11日を「人権を確かめあう日」”としました。これによって、1989年、毎月11日は「人権を確かめあう日」と提唱し設定されたのです。2023年この取り組みが35年を迎えました。
以来、毎月11日には、市町村ではのぼり旗を掲げ街頭啓発等を行い、住民に「人権を確かめあう日」を呼びかけ、差別や人権侵害を許さないという雰囲気や輪をつくっていくことをめざして取り組んでいます。また、市町村の毎月発行される広報誌には、人権まんが「てんいち先生」を掲載し、「まんが」による啓発にも努めています。
これからも‟毎月11日は「人権を確かめあう日」”に取り組み、さまざまな人権問題と向き合いながら、すべての人を大切にする社会「人権のまちづくり」の実現に向けて邁進していきます。どうかよろしくお願いします。

2023年7月

出会い、ふれあい、語り合いを取り戻そう

長かったコロナ禍が明けて、この間、中止や延期、縮小していた事業や行事などがかつてのように多くの人が参加する、にぎわいのあるものに戻ってきました。
奈良県では、毎年7月は「差別なくす強調月間」です。各市町村において、さまざまな人権問題についての講演会や映画会などが開催されています。ぜひこの機会に参加してみませんか。
先日、県内のある市町村で行われた集会では、「参加者同士が久しぶりの再会を喜び合う場面があった」とうれしい話を聞きました。やっぱり人は出会い、ふれあい、語り合うことが何より大切であり、必要なのだとこの話から実感しました。このことが人権尊重なのだとも感じました。
また、6月23日には、新たな人権にかかわる法律が制定されました。
「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(LGBT理解増進法)」です。この法律の「基本理念」には、性的マイノリティであろうとなかろうと、互いにその人格と個性を尊重しながら共に生きる社会をつくると謳われています。私たち誰もがお互いに一人の人間として、尊重されるものであるということです。全ての人権問題と向き合う根底に置かなければならない大切な理念です。
冒頭紹介した集会での「再会を喜ぶ」光景に、人間として共に生きる喜びを感じます。コロナ禍で失いかけていた、あたたかい人と人との出会いやふれあい、語り合いを再び取り戻すために、作っていくために、この法律からまた学ぶものがあると思いました。みなさんと共に「人権のまちづくり」に向ってがんばってまいります。よろしくお願いします。

2023年6月

改めて原点に立ち返って

6月に入りました。入梅も今年は思いのほか早く、しばらくは雨の季節が続きます。今年は特にエルニーニョ現象や地球温暖化などの影響で、台風や集中豪雨の発生する頻度が高いと報じられています。充分に気をつけましょう。
さて、1988年6月8日は、私たちの組織である市町村人権・同和問題啓発活動推進本部連絡協議会(市町村人権・同和問題「啓発連協」)が結成された日です。今年で35周年となります。5月には36回目の総会を開催しました。もう35年も経ったのか、いやまだ35年なのかさまざまな思いが過ぎります。
ふり返れば、「啓発連協」が結成される直前までの10年間ぐらいは、奈良県内のあちらこちらで差別事件が続発しました。その内容は、学校現場、行政の現場、地域社会などさまざまなところで起こる部落差別発言でした。
そこで、「どうして差別事象がこれほど頻繁に起こるのか、これまでの取り組みで何が間違っていたのか。何が足りなかったのか」など、当時、既に組織されていた機関の関係者らが何度も議論した結果、行政の取り組みが充分ではなかったことがわかってきました。つまり行政全体で差別撤廃と人権確立に取り組む体制が、できていなかったということが分かってきました。
これからは「啓発」という新たな手法で、行政総体が中心となって、差別を許さない社会的雰囲気をつくり、世論を喚起していくことをめざしていくことが重要であるとして「啓発連協」は結成されたのでした。「啓発連協」が結成されて以降、奈良県では、人権問題に取り組むために、「啓発=行政総体」「教育=学校教育、社会教育」「運動=解放運動、住民運動」という連携の流れができています。
結成36年目を迎えて、原点を常に大切にしていかなければならないと思いを新たにしています。初心を確認することは、人が次々に変わる組織においては必要不可欠なことです。思いを新たにこれからも行政啓発活動に全力で取り組んでまいりますので、どうかよろしくお願いします。

2023年5月

つながりやぬくもりを取り戻していこう!

5月が始まりました。3年が過ぎてやっと落ち着いてきたコロナウイルス感染症が、今月から季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられることになります。また、かつてのようなにぎわいが戻ってくることでしょう。しかし、引き続きコロナウイルス感染症には、充分気をつけながら過ごしていきたいものです。
このような中で、社会は、コロナ禍の3年で、人と人のつながりが薄れ、さまざまな分野で格差が広がりました。DV、児童虐待など人権問題がより深刻になっています。インターネット上でも差別的な書き込みが増加し、差別問い合わせも繰り返し起こっています。世界では、今も紛争や戦争によって多くの人々に犠牲と苦しみを強いています。私たちは、このような現実に強い憤りと不安を覚えます。
市町村「啓発連協」は、1989年から毎月11日は「人権を確かめあう日」を提唱・設定し、人権侵害を許さない社会的雰囲気の醸成や世論の高揚をめざして活動をしています。この活動も今年35年目を迎えました。私たちは、啓発活動を継続することで、社会も人々の意識も変えることができると考えています。これからは、コロナ禍で希薄になった人と人のつながりやぬくもりを取り戻し、絆を深め、私たち一人ひとりが尊重され、だれひとり取り残すことのない社会「人権のまちづくり」を実現していかなければなりません。ともにがんばりましょう。

2023年4月

新たな始まりに、新たな決意を込めて!

4月に入りました。年度もあらたまり、さまざまなことが新たなスタートとなります。コロナ禍の下で、一変した暮らしや社会ですが、気分を変えて、新たなつながりを求めて歩を進めていきたいものです。
さて、1989年4月11日に、「啓発連協」が提唱・設定した、毎月11日は「人権を確かめあう日」の取り組みが始まりました。今から35年前のことです。以来、35年にわたって、毎月「11日」には、奈良県内すべての市町村において、横断幕やのぼりを掲げ、街頭啓発、広報車による啓発、ケーブルテレビなどを使った啓発活動で、差別撤廃と人権の大切さを訴えています。
これらの活動を通じて、あらゆる人権侵害を許さないという社会的雰囲気や輪をつくっていこうと活動を展開しています。そして、お互いの人権が尊重され、誰ひとり取り残さない豊かな社会「人権のまちづくり」をめざしています。一人の人間の行為が、変われば、態度も心も変わるといいます。そして、社会が変わっていくといいます。
市町村「啓発連協」では、35年目を迎えた、毎月11日は「人権を確かめあう日」の取り組みを通じて、一人ひとりが尊重され豊かで暮らしやすい社会をつくっていこうと考えています。新年度、また、新たな出会い、新たなつながりが生まれることでしょう。新たな始まりに、新たな決意を胸に前進して行きましょう。
ともにがんばりましょう。

※例年、4月11日には県内一斉集会を開催しています。今年は、8月9日に『毎月11日は「人権を確かめあう日」県民のつどい』として開催する予定です。

2023年3月

その声が世界を変える!

はや3月という季節に入りました。時が音を立てて過ぎて往くようです。春本番もまもなくですね。
世界では、ロシアのウクライナへの侵攻から一年が経ちました。春が訪れても、戦争はいっこうに終結に向かう兆しがありません。まさに今戦火の下で、常にいのちの危機にある人びとは、明日のことなど考えられない状況でしょう。季節の移ろいを感じる暇(いとま)などないでしょう。
私たち市町村人権・同和問題「啓発連協」は、結成以来35年にわたって“毎月11日は「人権を確かめあう日」”を取り組みの根幹にして、さまざまな啓発活動を進め、だれもがいきいきと輝く“人権のまちづくり”をめざして活動を展開しています。
私たちの進めるこの取り組みは、社会がどのように変化しても、それが、人と人が争っている中であればなおさら、命と人権は絶対に守らなければならないとの決意を根底にしています。日々のこうした活動が、少しでも多くの人々に理解され、やがて世の中を変える力になればと願って、取り組みを進めています。
世界で戦火に苦しむ人々が、平和を取り戻すために、奪われた日常を取り戻すために、私たちひとりひとりにできることは限られてるかもしれません。
でも、「絶対に戦争はだめだ」この思いを広く世界に示すことは可能です。その声を広く世界に届けることで、戦争という現実を変える力にしたいものです。
私たち市町村人権・同和問題「啓発連協」は、希望の持てる明日を創っていくために、これからもがんばります。ともにがんばりましょう。

2023年2月

目標に向ってまっしぐら!

「新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。」この言葉を先月初めに述べたばかりなのに、大寒も過ぎ2月となりました。ほんとうに月日の立つのが早く感じます。社会も私たち自身も絶え間ない動きの中で、生きているということだと思います。転石苔むさず、錆びないようにいきたいものです。
みなさんは、今年の年頭に思い描いた計画は進んでいるでしょうか。どのようなことであっても目標を定めて、実行に移していくことは、生きるという意味において、とても意義のあることだと考えます。
市町村「啓発連協」は、今年、毎月11日は「人権を確かめあう日」がスターとして35年になります。ところで、人権とは何でしょうか。嚙み砕いて言えば「自分らしく生きること。お互いを大切にすること。みんなが幸せに暮らせること」ではないかと考えます。この願いや思いを大切にして、人権を奪われたり侵されたりしないように、守っていかなかなければなりません。今年もこの活動を通して、いのちといえる人権をより確かなものにするために、がんばっていきたいと考えています。加えて、毎月、市町村の広報誌に掲載されている、人権まんが「てんいち先生」(市町村「啓発連協」ホームページ参照)も応援の程よろしくお願い致します。
昔から「1月は行く、2月は逃げる、3月は去る」などと言われますが、今の時代は、どの月であっても、これらの月のごとく、またたく間に過ぎ去っていくように感じます。だからこそ、私たちは、日々の暮らしや生き方を大切にしていかなければなりません。さて、今月のあなたの目標は?


2023年1月

差別は克服できる!

新年あけましておめでとうございます。
今年も始まりました。どうかよろしくお願いいたします。
かつて人権の活動の場において、「21世紀には差別を持ち越さない」というスローガンが掲げられ、それにむかって私たちは懸命に活動を展開してきました。
昨年は全国水平社創立100周年という大きな節目の年でした。100年といえば一世紀です。けっして短い時間ではありませんが、100年が経過した2023年の現在も、差別は厳然と社会の中に存在しています。そして、100年前には存在しなかった、インターネット上の人権侵害や性的マイノリティに対す差別問題、コロナ差別などが新たな問題として起こっています。人がいる限り差別や争いごとはなくならないのでしょうか。かりにそうであるとしても、私たちは差別は克服できると考え、常になくすための努力をすることが大切です。
私たち市町村人権・同和問題「啓発連協」では、1989年から「人は等しい」を合言葉に、‟毎月11日は「人権を確かめあう日」”を活動の基軸にして、啓発活動にとりくんでいます。この100年間で、「人権」という言葉は定着し市民権を得ています。後は私たちが差別をなくしていくためにどれだけ取り組んでいくのかが大切です。市町村人権・同和問題「啓発連協」は、2023年もお互いの尊厳を大切にする、誰ひとり取り残さない社会「人権のまちづくり」をめざして活動に邁進してまいります。
どうか今年も変わりませず宜しくお願い致します。

2022年12月

私たちは、理性と良心とを授けられている!

光陰矢の如し、今年も12月になりました。師走の名の通り何かと気ぜわしい一ヶ月でしょう。また、12月4日から10日までは「人権週間」が始まります。第2次世界大戦の深い反省から国連で採択された「世界人権宣言」は、今年で74周年となります。
しかし、世界では今もウクライナでの戦争が続いています。人間はかつての大きな教訓を活かすことが、なぜできないのでしょうか。人権を無視し生命を奪い合う戦争という、かつてと同じ道になぜ進むのでしょうか。
すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。
これは、「世界人権宣言」第一条の条文です。
理性と良心を授けられている私たちは、お互いを尊敬することが大切です。「人権週間」が74年もの長きにわたって取り組まれてきたのか、改めて確認したいものです。
私たち市町村人権・同和問題「啓発連協」では、1989年から「人は等しい」を合言葉に、‟毎月11日は「人権を確かめあう日」”を活動の基軸にして、啓発活動にとりくんでいます。お互いの尊厳を大切にする、誰ひとり取り残さない社会「人権のまちづくり」をめざして日々活動を続けています。ともにがんばりましょう。


2022年11月

毎月11日は「人権を確かめあう日」と人権のまちづくり!

市町村人権・同和問題「啓発連協」が、1989年に毎月11日は「人権を確かめあう日」を提唱設定してから34年が経過します。1965年8月11日に出された「同和対策審議会答申」出されたことを記念しています。「11」の「1」を(ひと・人)と読み、「11」を横にすると「=(イコール、等しい)」になることから、「人は等しい」を合言葉に、社会にあるさまざまな人権問題をしっかりと見つめ考えていこうという取り組みです。そして、人権のまちづくりをめざそうと呼びかけてきました。
このようにひとつの問題にかかわる中でも、その取り組みを続けていくためには、また時代を先取りしていくためには新しい発想や工夫が必要です。
11月は、「11」が重なります。この意味からもより力強く毎月11日は「人権を確かめあう日」の意義を訴えていきたいと思います。また、11月11日は、「世界平和記念日=1918年11月11日」と定められています。世界では、今この記念日を無視したような侵略行為が続けられ、多くの人びとのいのちと人権が奪われています。私たちは歴史から何を学んできたのでしょうか。言葉がありません。
だれか自分とは違う人の権利が侵害されているとき、もしかしたらそれは、自分だったかもしれないと考えることはできますか。差別は決して他人ごとではありません。これからも、誰ひとり取り残さない社会をめざして、毎月11日は「人権を確かめあう日」に取り組み、人権のまちづくりを一緒に進めましょう。


2022年10月

差別や人権侵害を許さない社会を!

10月に入り朝夕はめっきり涼しくなりました。やっと秋になったなという実感があります。それにつけても今夏の暑かったのには閉口しました。これからは、気候変動で地球温暖化の傾向が続いていくのでしょうか。超大型の台風や豪雨、夏は極端に暑く、冬は寒波や豪雪になるのでしょうか。文明の発達と引き換えに、私たち人間や地球上のすべての生き物にその影響が跳ね返ってくるのでしょうか。
また、世界では紛争や戦争、テロが後を絶ちません。ロシアのウクライナ侵攻は7ヶ月が経過しても未だ終結の出口が見えません。多くの尊い命が失われ、人々の尊厳が無視され続けています。ひとりの人間の暴走を止められないのでしょうか。戦争は最大の差別であり人権侵害です。日頃私たちは、よほど自分に関わりがない限り、まわりで起こる差別や人権侵害も他人ごとであり無関心です。しかし、差別や人権侵害を許すことは、やがて戦争という大変な事態につながるかもしれないと心に刻まなければなりません。
私たち市町村人権・同和問題「啓発連協」は、長年にわたり‟人は等しい‟を合言葉に、毎月11日は「人権を確かめあう日」を広く呼びかけて、暮らしのさまざまな場面で起こる差別や人権侵害を、許さないという社会の雰囲気や輪を作っていくことに取り組んでいます。「人権のまちづくり」に向けて全力で取り組みを進めていかなければなりません。ともにがんばりましょう。


2022年9月

それは私自身の人権が侵害されていることと同じです。

9月に入り、やっとあの連日の猛暑や酷暑が続いていたことをふり返ることができる季節になったと感じます。季節は少し秋に近づいたと実感しています。
でも、身近には、新型コロナウイルス感染症の感染拡大があり、これからやってくる台風や災害等には充分に気を付けていきたいものです。
さて、過日主催した研修会で、ひとりの講師の話がとても印象に残りました。
『今、私たちが享受している人権は、教育や啓発や運動や、そうした多くの人びとの努力の上に獲得、回復されてきたことを確認したいと思います。そして、先人が闘って確立してきたその財産は、弛みない努力によってこそ、保持できるものであると改めて胸に刻みたいと思います。』
今、私たちのまわりではさまざな差別や人権侵害が起こっています。世界では、今も戦争が続けられています。かけがえのない命と人権が侵害されています。 基本的人権は、すべての人に等しく信託されたものです。どこかでだれかの人権が侵害されていれば、それは私自身の人権が侵害されていることと同じです。
つまり、他人の人権を守ることが、すなわち私自身の人権を守ることになるのだと知ることができました。そして、差別が人間の尊厳を奪い、生きる権利までも奪うものであることを改めて理解しました。
いまさらながら人権の大切さを深く胸に刻みました。毎月11日は「人権を確かめあう日」の取り組みをしっかりと進めていきましょう。

2022年8月

許さない! 身近な差別や人権侵害

8月に入りました。連日猛暑が続いています。そして、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が止まりません。充分に気を付けて過ごしていきましょう。
さて、8月は、平和、いのち、人権にかかわる大切な日が続きます。8月6日(広島原爆の日)、8月9日(長崎原爆の日)、8月15日(終戦の日)は、いずれも平和、いのち、人権に関わる、忘れてはならない日です。
しかし、今、戦争が現実のものとなり、その影響が世界に広がっています。人間のいのちと尊厳が無視され侵害され続けています。言うまでもなく戦争は最大の差別であり人権侵害です。今私たちにできることは、身近な差別や人権侵害を見逃さない、許さないことです。
私たち市町村人権・同和問題「啓発連協」は、1965年8月11日に出された「同和対策審議会答申」を記念して1989年に‟毎月11日は「人権を確かめあう日」”を設定し、「11日」を、くらしの中のさまざまな問題を人権の視点で見つめ直し、お互いの人権を「確かめあう日」にしようと取り組みを進めています。私たちは身近な差別や人権侵害を許すことが、やがて戦争につながることを改めて心に刻まなければなりません。
最近ある雑誌のコラムで次のような言葉がありました。「平和と平等は手を携えてやってくる」その反対語は、「戦争と差別排外主義は手を携えてやってくる」というのです。この言葉心に刻まなければなりません。
 人間のいのちと尊厳を守ることに全力で取り組まなければなりません。


2022年7月

7月は「差別をなくす強調月間」です

7月に入りました。いつもなら今月の半ばごろになる梅雨明けが、20日以上早く明け、いっぺんに酷暑の夏がやってきました。連日40℃近くになる日が続いています。体調にはくれぐれも気を付けて過ごしましょう。
さて、7月は「差別をなくす強調月間」ということで、例年、各市町村では、集会や街頭啓発、人権相談、子どもたちのポスター展示などが開催されてきております。しかし、ここ2年間は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、ほとんどの市町村では、例年通りの取り組みができませんでした。
そのような中、今年度は、コロナ禍の下であっても停滞していては何も始まらない、少しでも前に進もうとの機運が高まり、各市町村では「差別をなくす強調月間」の事業が始まっています。
各市町村で7月は「差別をなくす強調月間」として取り組むようになってから50年近くが経過しました。しかし、私たちの身の回りには今もさまざまな人権課題が山積しています。インターネット上では、ひぼう中傷や人権侵害が多発しています。それに影響を受けたと思われる事件や事象も起こっています。また、世界では戦火が今も止むことなく、多くの人たちの生命と尊厳が無視され続けています。
いのち・人権に関わる問題は、決して他人事ではありません。いつ自らの問題になるかもしれません。差別をする側になり、差別をされる側になるかもしれません。それゆえに人権問題を日頃から自分事として捉え考えることは大切です。「差別をなくす強調月間」は、そのためのひとつの機会です。この機会にお近くで開催される講演会などにはぜひ参加してみてください。新たな一歩につながるかもしれません。

2022年6月

一瞬一瞬が積み重なって今がある

6月に入りいよいよ雨の季節になってきました。暑さも増してきます。コロナも依然として続いています。どうか健康には充分に配慮をして過ごしましょう。
さて、市町村「啓発連協」は、1988年6月8日に結成され今年35年目を迎えました。人生は一瞬一瞬の積み重ねだと言われますが、組織もまた同じ積み重ねで現在に至っています。先日35回目の総会を3年ぶりに多くの方に出席いただき開催することができました。コロナ禍で2年間書面開催でしたが、久しぶりに多くの人に集まってもらっての開催は、とてもにぎにぎしく熱気感じる雰囲気に包まれたものとなりました。
やはり人は人とふれあい語り合うことが大切であると痛感しました。この意味においても大変意義のある総会であったと思っています。このようにコロナ禍の下にあっても、今年度は、計画したことを少しずつ以前のように動かしていくように努めたいと考えています。
私たちの身の回りには人権課題が山積しています。世界では戦火が今も止むことなく、多くの人たちの生命と尊厳が無視され続けています。決して他人事ではありません。私たちはいつ被害者になり、また加害者になるかもしれません。人間はどちら側にもなる可能性があります。だからこそ人権を自らの根底に置いて行動することが大切なのです。
市町村「啓発連協」は35年目のスタートを切りました。これまでの活動を通して積み重ねてきた成果や教訓を糧として、これからも毎月11日は「人権を確かめあう日」を基軸として「人権のまちづくり」をめざして邁進してまいります。引き続きよろしくお願いいたします。


2022年5月

取り戻そう、確かな人と人のつながりを

大型連休も終わり、生活リズムなどを早く平時の状態に戻していきたいものです。しかし、3年目となるコロナウイルス感染症は感染拡大を続けています。世界では、ウクライナでの戦火が今も止むことなく、多くの人たちの生命と尊厳が無視され続けています。戦争は最大の人権侵害です。命のこと、戦争のこと、平和のこと。私たち一人ひとりが問われていることは、とても大きく重要な問題です。
市町村「啓発連協」は、今年結成35年目を迎えます。この間、毎月11日は「人権を確かめあう日」を基軸にして、行政啓発によって、人々に人権の大切さを訴えてきました。一人ひとりを大切にして、誰ひとり取り残さない「人権のまちづくり」をめざして活動を進めてきました。
「人権のまち」とは、みんなが安心して笑顔で暮すことができる地域社会です。つまり、一人ひとりが大切にされていると実感できるまちをつくっていかなくてはなりません。今、私たちの社会は、コロナ禍の下で、簡単に会えないことなどで、人間関係が弱まり希薄になっています。「人権のまちづくり」のためには、まず、コロナ禍の下で弱まり、薄まった人と人のつながりやきずなを、以前のように取り戻すことが大切ではないでしょうか。地域も家庭も職場もまずは、人と人のつながりです。大切にしていきたいものです。
5月は、季節とは裏腹に体も気候も変化しやすい時です。どうか十分に気を付けながら乗り越えていきましょう。


2022年4月

そのひと声が、きっと勇気と元気を届けます

4月になりました。桜が満開を迎え、いよいよ春本番の好季節です。
しかし、社会は3年来のコロナ禍にあり、世界ではウクライナの戦火が多くの人々に大きな影響を及ぼしています。私たちは、この現実をきびしく見つめ、今こそ命と人権と平和の大切さについて、深く考えなければなりません。戦争は最大の人権侵害です。即時停戦を心から願います。
こうしたなかで、毎年4月は、市町村「啓発連協」の呼びかけで、4.11「人権を確かめあう日」一斉集会が、奈良県内の21会場で開催されます。
1989年に市町村「啓発連協」が、1965年8月11日に出された「同和対策審議会答申」に起因して提唱・設定した、毎月11日は「人権を確かめあう日」に基づき、県と市町村によって取り組まれている記念行事で、今年で34回目となります。誰もがありのままで安心して共に生きる社会、一人ひとりが尊敬される社会「人権のまちづくり」を実現していかなくてはなりません。
また4月は新しい出発の時でもあります。しかし、新しい職場、学校などさまざまな場面で、不安なこと心配なことが生じる時期でもあります。そんな時、「大丈夫、心配しないで」などの声掛けは、とても勇気を与えます。元気になります。気持ちがほっとするものです。
このようなひと声を、ぜひ身近な人に掛けてみてはいかがでしょうか。きっと通じるものがあると思います。その「ひとこと」は、自分自身もまた前向きにすることでしょう。
さあ~、「人権のまちづくり」に向って、みんなで新しい一歩を踏み出しましょう!


2022年3月

人の世に熱あれ、人間に光あれ

2022年の3月3日は、全国水平社創立100周年です。この大きな節目を改めて、心に刻まなければならなりません。
それは、今からちょうど100年前の1922年3月3日、きびしい部落差別と闘い、人間の尊厳と平等と自由を取り戻そうと立ち上がった人たちが結集して、「全国水平社」が創立された日にあたります。
この大会で読み上げられた「水平社宣言」は、世界で初めて被差別にある人たちから発信された人権宣言と言われています。600字余りに込められたのは、部落差別の苛酷さ、その中で人々が抱いていた意識、差別の克服と人々の団結、そして、すべての人間への尊敬と自由と平等です。今日、私たちがさまざまな場面で言葉にし、文字にしるす「人権」は、この「全国水平社」の闘いが、その基礎を築いてきたのです。
だからこそ、このような歴史を振り返って、先人の闘いや生き方に学ぶことはとても重要です。どんな時代であってもどこに居ても、差別を跳ね返して生きていこうとする人々の情熱とエネルギーをその中に感じるからです。
今、世界も日本も2年以上に及ぶ新型コロナウイルス感染症と闘っています。さらにそこに、大国が絡む無謀な紛争が、世界に大きな影響を及ぼしてきています。毎日のように尊い生命が失われています。慙愧に耐えない状況です。戦争は最大の人権侵害です。どのような理由があっても、絶対にあってはなりません。いまこそ、私たちは、100年前に「水平社」が提起した「宣言」の理念を心に刻まなければなりません。
「宣言」は、「人の世に熱あれ、人間に光あれ」という言葉で結ばれています。全ての人が尊敬され自由で平等に暮らせる社会「人権のまちづくり」を進めましょう。
「つくられてきた差別」が、私たち自身の努力によってなくせないはずはないとの自覚を問い直おす節目にしたいと思います。


2022年2月

その気づきを確かなものに

2月に入りました。節分、そして立春といよいよ春がうっすらと見えてきました。でも社会は、新型コロナの変異ウイルスが急激に広まり危機感が強まって、収束の出口がまた遠のいてしまったように感じます。
コロナ禍になって2年が過ぎました。その中でも社会は動いています。それは動かしてくれている人たちがいるからです。「エッセンシャルワーカーと言われる私たちの生活を支えている職種の人たちの存在の大きさと大切さを改めて認識しました。この人たちの存在がなければ、私たちは生きていけません。感謝の念でいっぱいです。同時に、人と人のつながり、支え合うことが、社会には絶対必要で大切であることに改めて気づくことができました。
私たち市町村「啓発連協」では、毎月11日は「人権を確かめあう日」を基軸に「人権のまちづくり」に取り組んでいます。差別や偏見、人権侵害などをなくして、「人を大切にするまちづくり」を呼びかけています。毎日規則正しく、私たちの暮しを支えてくれているエッセンシャルワーカーの人たちも、その根底には「人を大切にする」ことがあると考えます。   
コロナ前には気にも留めなかった暮らしの中の当たり前なこと、社会が当たり前に動いていることなどが今、とても大切で尊いものに思えます。
このような人への気遣いや気持ちを持つことが大切です。人は一人では生きていけません。人は「人」の字のように支え合って共に生きる存在です。私たちのこの社会、この暮らし、いつも誰かが支えてくれています。この気づきを確かな一歩にしていきたいものです。

2022年1月

それは、人を大切にすることです。

新年あけましておめでとうございます。2022年という新しい年を迎えました。今年もどうかよろしくお願い致します。今年は寅年です。前向きで勢いのある一年にしていきたいと思います。コロナウイルス感染症もオミクロン株が徐々に拡がりを見せ感染拡大の傾向です。くれぐれも気を付けていきたいものです。
さて、過日の新聞のコラムで、次のような記事が目に留まりました。
ブッダの教えに「国が滅びないための要件」が7つあると書かれた内容でした。
その中で特に心に響く言葉がありましたので紹介します。
「古老(先達、先輩)を尊敬しているか」、「弱者に暴力をふるっていないか」、「人を常に尊んでいるか」です。このことを常に実行しているか否かで、その国の命運が決まるというのです。コロナ禍の社会に生きる私たちが、お互い自らに照らして考えてみなければならないことばかりです。
この教えの根底には、「常に人を大切にすること」があると考えます。時代がどのように変わっても、人を大切にすること、お互いの尊厳を大切にすることは不変の事柄です。
市町村「啓発連協」は、今年、結成35年目を迎えます。今年も毎月11日は「人権を確かめあう日」を基軸にして、「人は等しい」を合言葉に、誰ひとり取り残さない社会「人権のまちづくり」をめざして行政啓発に邁進してまいる決意です。「人を大切にする社会」をつくっていきましょう。
本年もどうかよろしくお願いいたします。


2021年12月

次につなげるために

光陰矢の如し、2021年も12月となりました。コロナウイルス感染症感染拡大もこのところ落着いた状況が続いていますが、新たな変異ウイルスも出てきています。決して油断せず、引き続きマスク、手洗いなど感染対策に努めましょう。
さて、コロナウイルス感染症の感染拡大がはじまって2年、私たちの日常は大きく変わりました。それまで見えなかった社会の中のさまざまな問題が次々とあぶり出されました。その中で「コロナ差別」などをきっかけに、人権を身近な問題として考えることも多かったと思います。もうすぐ人権週間(4日から10日)がはじまります。改めて、今年を振り返りいのちと人権について考えてみることが大切です。
市町村「啓発連協」が、活動の基軸としている“毎月11日は「人権を確かめあう日」”も「11日(1965年8月11日に同和対策審議会答申が出された日)」を、身近な問題を人権の視点で見つめ直し、お互いの人権を「確かめあう日」にしようという取り組みです。30年以上に渡って人々に人権の大切さを呼びかける活動を続けています。また、今年12月16日は、部落差別のない社会実現をめざしてつくられた「部落差別解消推進法」(2016年12月16日)が公布・施行されてちょうど5年となります。
 人権週間と11日と16日、このように一年の締めくくりである12月は、「差別撤廃、人権尊重、いのちの大切さ」について改めて、見つめ、考え、次につなげるための時間でもあると考えます。
コロナ禍の中、一人ひとりいろいろなことがあった2021年だったと思いますが、ことし経験したこと学んだこと感じたことを大切にして、来年につなげていきたいものです。
引き続きよろしくお願いいたします。


2021年11月

道草とひらめき

今年も早くも11月になりました。急に肌寒くなり、年々秋が短くなるように感じます。コロナウイルス感染拡大も急に落着き、少し安堵感が広がっているようです。しかし、油断することなくマスク、手洗いなど引き続き感染対策には努めていきましょう。
さて、過日、新聞のコラムに今年のノーベル物理学賞に選ばれた真鍋淑郎さんの言葉が紹介されていました。「もし道草をしなかったら、僕の人生はかなり変わっていたに違いない。長年続けて来た研究の中で、ちょっと道草をしたことで、「地球温暖化予測モデル」(ノーベル物理学賞受賞)を生み出すことにつながった」という内容でした。この話を聞き「道草」が思考の転換や新たな発想につながっていくのかもしれない、時にはその人の人生を大きく変えていくかもしれないと感じました。
市町村「啓発連協」が長年活動の基軸としている、“毎月11日は「人権を確かめあう日」”や、人権キャラクター「てんいち先生」も、日々の活動のなかのひらめきから考え出されました。それは長年にわたって市町村が人権啓発を進める原動力となっています。もちろん、そのひらめきは、すべての人の人権が尊重される社会への強い願いおもいが凝縮する中から生まれたのです。
コロナウイルス感染拡大がはじまって約2年、私たちの日常は大きく変わりました。それまで見えなかった社会のなかのさまざまな問題が次々とあぶり出されました。「コロナ差別」などをきっかけに、人権を身近な問題として考えることも多かったと思います。
この2年間はあまりにも過酷な時間であり、多くの犠牲がありました。だからこそ、この時間の中で一人ひとりが気付いたこと、考えたことを大切にしていきたいと思います。これからのウイズコロナの時代に向けて、新しい発想、ひらめきを生み出し、いつかみんなでこの日々を「道草」と振り返ることができるように、せいいっぱい考えていきましょう。

2021年10月

生きづらさを感じる社会を変える!

先月9月30日で、発出されていた緊急事態宣言やまん延防止等重点措置がすべて解除されました。新型コロナウイルス感染拡大の第5波の大きな影響もやっと落ち着いたように感じます。また、ワクチン接種も相当程度進んでいます。しかし、今後も新型コロナウイルス感染症がゼロになることはなく、ウイズコロナの社会が続いていくだろうと思われます。そのなかで、私たちはこれからの在り方や生き方を改めて考える必要があります。
いま社会は、長引くコロナ禍で人と人のつながりが希薄になっています。排除や孤立が進み、コロナ差別や人権侵害が次々と起こっています。人々は心配や不安を感じるなかで、こころもすさんできているのではないかと思われます。日々、生きづらさを感じながら暮らしているのではないでしょうか。
市町村「啓発連協」は、長年、毎月11日は「人権を確かめあう日」を基軸にした行政啓発に取り組んで来ました。誰ひとり取り残さない「人権のまちづくり」の実現をめざしています。毎月11日には、「人権を確かめあう日」を呼びかけ、差別や人権侵害を許さないという社会の雰囲気や輪をつくっていくことをめざしています。日常で起こることや出会うことに、違和感やおかしいなと思うことはありませんか。そこに少し人権の視点を足すことができれば、見える景色がまったく違ったものになるのではないかと考えます。
だれかが生きづらさを感じる社会は変えていかなければなりません。だれもが生きやすさ、暮らしやすさを実感できる社会をつくっていきましょう。「人権のまちづくり」をぜひ実現しましょう。

2021年9月

その時、いちばん大切なものは!

9月になりました。暦の上では秋を迎えましが、残暑がとても厳しいです。社会は、依然として新型コロナウイルス感染症拡大の中にあります。ワクチン接種もかなり進んで来ていますが、収束は一向に見えてきません。引き続き感染対策には、お互いに万全を期していきたいものです。
さて、9月1日は防災の日です。今からちょうど10年前の2011年9月2日から4日にかけて降り続いた大雨は、紀伊半島に甚大な被害をもたらしました。「紀伊半島大水害」です。奈良県でも大きな災害が発生し、あちこちで深層崩壊が起こり、河川が氾濫し、尊い人命が失われました。今も行方不明者の捜索、復旧工事が懸命に続けられています。
今、世界各地で、50年、100年に一度と言われる自然災害が次々と発生しています。いつどこで起こるかもしれないこのような大災害が、身近なものなってきています。私たちはこの現状にどう向き合っていけばいいのでしょうか。「あの日を絶対に忘れない」を心に刻み、日頃からいのちを守るためにどうすればいいかを、このような大災害の経験から学び、生かしていかなければなりません。
現在は、科学技術が発達し、気象情報や自然災害の発生予測について、多くの情報を私たちにもたらしてくれるようになりました。これらの情報を最大限活用し人的な被害を減らしていくことが大切です。
それ以上に大切なことは、地域の人たちとの日頃のつながりです。いざという時の声掛けが、人々のいのちを救ってきた事実をしっかりとおさえ、実践していくことです。私たちが何よりも大切にしなければならないのは、このような人と人のあたたかいつながりです。新型コロナウイル感染症の影響で孤立や孤独が進み、人間関係が希薄になっている中でも、このつながりを改めて大切にしていきたいものです。
市町村「啓発連協」は、誰ひとり取り残さない社会「人権のまちづくり」の実現をめざして活動を進めています。この活動が、人々の日頃のつながりやきずなをより深めていくことにつながっていくことを願っています。これからも鋭意取り組んでまいりますので、ご協力の程よろしくお願い致します。


2021年8月

改めて、その日に思いを寄せて!

8月になりました。今年の夏もうだるような暑さが連日続いています。このような中で、日本では、57年ぶりとなるオリンピックが開催されています。さらに、9月にはパラリンピックも続いて開催される予定です。しかし、新型コロナウイルス感染症が依然として猛威をふるう中での開催には、やはり不安と心配と懸念を抱きます。
このオリンピックの開催に伴っては、開催前からいろいろと問題が表面化しました。大会関係者による、女性差別発言、容姿に対する侮辱発言、いじめ、ホロコースト問題等の人権問題です。いずれの問題も人権の視点や人権意識の欠如が根底にあると考えられます。このことは、行為者一個人の問題ではなく、私たち一人ひとり、引いては社会全体の問題として考えていく必要があります。
市町村「啓発連協」では、1989年から「同和対策審議会答申」(1965年8月11日)が出された「11日」を記念して “毎月11日は「人権を確かめあう日」”と定め、“人は等しい”を合言葉に、暮らしのさまざまな場面で困っていること、悩み、不安に思っていることを人権の視点で見つめ直し、お互いの人権を「確かめあう日」にしようとさまざまな啓発活動を展開し広く呼びかけています。
オリンピックの根幹には、人権が位置付けられていることは周知のとおりです。平和の祭典であるオリンピックは、人権が満たされていなければ開催できません。この意味において、今東京大会も人権の観点で見ることで、より深い理解や感動が得られるのではないでしょうか。そして、改めて、その日「11日」に思いを寄せてみましょう。“毎月11日は「人権を確かめあう日」”です。


2021年7月

大切なのは、まず行動を起こすこと!

例年より20日以上も早かった今年の梅雨も、7月に入りいよいよ終盤にさしかかってきたようで、雨の日がだんだんと多くなってきました。大雨、災害に充分気を付けていかなければなりません。
さて、奈良県では、毎年7月は「差別をなくす強調月間」として位置づけられています。月間中、各市町村では一斉に、講演会、人権相談、パネル展、街頭啓発等を実施して、差別をなくして人権をより確かなものにするための活動に取り組んでいます。地域、家庭、職場、学校など暮らしの中で起こるいろいろな問題を、人権の視点で見つめ直し、お互いの人権を大切にする社会をつくっていかなければなりません。
そのためには、社会や人々の中に、「差別をしない、させない、許さない」という意識や雰囲気を浸透させていくことが大切です。「差別を見ているだけ、聞いているだけ」は、容認しているのと同じです。「声」を上げることが大切です。行動を起こすことが大切です。
今般、県内の公共施設で、知的障がい者を誹謗中傷する内容の手書きの文書が、置かれるという事象が連続して起こりました。現在、「啓発連協」では、関係機関と連携のもと取り組みを進めています。
身近に起こるさまざまな差別、不合理、矛盾等、おかしいと思うことに気づき、すぐに行動を起こしていくことはとても重要なことです。その行動が事実を表面化させて、事を進めていくきっかけになるのです。解決へと結びついていくのです。差別は、いのちに関わる問題です。このことを、スタートした「差別をなくす強調月間」の取り組みを通して、しっかりと学び、理解を深め、これからの活動に生かしていきましょう。

2021年6月

話し合うことで生まれるもの!

今年は、梅雨入りがとても早く例年なら6月のはずが、5月の半ば過ぎに梅雨入りの発表がありました。今やこれまでの経験や知識では通用しない事態が、気候でも起こっていると強く感じます。今年はいつもより梅雨が長びくとの予報も発表されています。水害等に充分気をつけていきたいものです。
新型コロナウイルス感染症感染拡大に伴う3度目の緊急事態宣言も今月まで延長されました。ワクチン接種も進んでいますが、依然としてきびしい状況が続いています。引き続き、感染しない感染させないを徹底して、収束に向けてできることは実行していきましょう。
このような状況下で、市町村「啓発連協」も新年度に入っても未だ集まっての会議が開催できていません。これまで集まって対面で話をすることがあたりまえであったことを考えると、ほんとうにさびしい気持ちでいっぱいです。
先日、新聞に「対話することの大切さについて」書かれた記事がありました。「ひとつの問題について、皆が意見を出し合い、一緒に考えることは、仮に自分とは反対の意見が通ったとしても、自分も一緒になって考えたという意識を生み、その決定に責任があるという自覚をもたらします。また、皆を巻き込んで議論することが、共感や気づきを生むのです。皆が参加して考えることが社会を変える大きな力になるのです。」このようなことが書かれていました。
この記事に意を強くしたところです。市町村「啓発連協」も早く市町村の皆さんが参集しての会議が開催できればと強く思っています。何ごとも一朝一夕にはいかないとは思うものの、時間と効率を優先しがちな日常を想起し、改めて対面対話の重要性をかみしめています。これからの啓発活動の推進に活かしていきたいものです。

2021年5月

声をあげることから!

5月になりゴールデンウイークもあっという間に過ぎ去りました。新型コロナウイルス感染症の拡大が始まって2回目の春を迎えていますが、昨年と同様に、緊急事態宣言が出された中で迎えた5月です。自粛生活、不要不急の外出を控えるなどは、引き続き継続しなければなりません。お互いの命を守るために徹底したいものです。
このような中で、コロナ差別が続いています。とくに感染者や医療従事者、その家族などに対する差別、忌避が強まっています。感染者やその家族を地域社会から排除、孤立化させるような風潮が強まっています。このように新型コロナウイルス感染症の拡大をめぐって、私たちの人権がますます脅かされる状況となっています。
市町村「啓発連協」では、長年、‟人は等しい”を合言葉に毎月11日は「人権を確かめあう日」のとりくみを続けています。地域、家庭、職場、学校など暮らしの中で起こるいろいろな問題を、人権の視点で見つめ直し、お互いの人権を「確かめあう日」にしようと取り組んでいます。社会や人々の中に、「差別しない、させない、許さない」という意識や雰囲気を浸透させていくことが大切であると考えているからです。「差別を見ているだけ、聞いているだけ」は、容認しているのと同じです。「声」を上げることが大切です。
こうした取り組みを通じて、いま、コロナ禍の中で深まる差別や偏見、排除などの人権侵害をきびしく見つめ、なくしていかなければならないと考えます。そして、だれもが安心してともに生きることができる地域社会をつくっていきましょう。

2021年4月

毎月11日は「人権を確かめあう日」です!

4月になりました。新しい年度が始まります。新型コロナウイルスによる感染症の拡大が始まって2度目の春を迎えましたが、今、急速に変異ウイルスの拡大や感染のリバウンドが始まり、気を許せない状況にあります。春を満喫したい気分ですが、お互いの命を守るため引き続き気を引き締めていかなければなりません。
2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大がはじまってから今日まで、コロナ禍の影響と「コロナ差別」による人権侵害などによって、「いのちと人権」にかかわって深刻な状況が続いています。このような現状をきびしく見つめ、私たち一人ひとりが「差別は許さない」「ストップ差別」の声を強く社会に発信していかなければなりません。
市町村人権・同和問題「啓発連協」は、今から32年前の1989年4月、1965年8月11日に出された、「同和対策審議会答申」を記念して、毎月11日は「人権を確かめあう日」と定め、「人は等しい」を合言葉に暮らしのさまざまな場面で困っていること、悩み、不安に思っていることを人権の視点で見つめ直し、お互いの人権を確かめあう日」にしようと活動を進めています。そして、毎年4月には、この活動を社会により広く周知を図るために、奈良県内21会場で4.11「人権を確かめあう日」一斉集会を開催しています。今年も新型コロナウイルス感染症が続く中ですが、従前からの開催形態を変更また工夫するなかで、集会(講演会、映画)、パネル展、自主放送チャンネルを使っての放送などとし、ほぼすべての会場で実施を予定しています。
私たちは、コロナ禍の今こそ、この取り組みの意義をより多くの人々と社会に訴えていきたいと思っています。そして、地域、家庭、職場、学校がつながって、だれひとりとり残さない、だれもが安心してともに生きることができる、そんな人権が輝くまちをつくっていきましょう。
市町村人権・同和問題「啓発連協」は、2021年度も引き続き、長年取り組んできた毎月11日は「人権を確かめあう日」を基軸にして「いのちと人権」を大切にする「人権のまちづくり」をめざして啓発活動に邁進します。

2021年3月

だれひとりとり残さないために!

2月は言葉通り逃げるように過ぎ去りました。2度目の緊急事態宣言は発出中の地域もあり、コロナ禍での生活は依然として続いています。このような中、医療従事者へのワクチン接種が開始され、昨年初めから始まった新型コロナウイルス感染症との闘いにもやっと少し光が見えてきたように感じます。年末からの新型コロナウイルス感染症の第3波もここにきてやっと弱まってきたようにも感じます。新型コロナウイルス感染症の早い収束を願うばかりです。
暦は3月に入りました。天気予報は、三寒四温、黄砂や花粉の飛来など春の訪れを告げています。春の実感が日に日に深まってきます。
ところで、毎年3月は年度末でもあります。私たち市町村「啓発連協」は、2020年度も差別や偏見をなくし、いのちと人権を大切にしようという社会の雰囲気と人々の意識を変えることをめざして日々啓発活動を展開てきました。毎月11日は「人権を確かめあう日」を活動の基軸にして、「人権のまちづくり」をめざして活動を進めてきました。
「STOP!コロナ差別」ポスターや「みんなが笑顔でくらせるまち」パンフレット、人権まんが「てんいち先生」(「啓発連協」ホームページ参照)などを作成し、コロナ禍の中でも、人と人のつながりを大切にして、だれひとりとり残さない地域社会をつくっていきましょう!と呼びかける啓発活動に取り組んで来ました。コロナ禍の中で一年余り、この間の多くの経験や教訓を次に生かしていくことが大切だと考えています。差別や偏見をなくし、いのちと人権を大切にするためにこれからも頑張っていきます。ともにがんばりましょう。


2021年2月

いのちと人権の大切さに気づくこと!

「一月は行く、二月は逃げる、三月は去る。」こんな言葉のように、一月は過ぎ去ったように思います。そして、2月になりました。でも、2度目の緊急事態宣言下での時の経過は、いつものような正月の雰囲気や気分とはまた違うものでした。
年末からの新型コロナウイルス感染症の第3波は、ことのほか強くきびしいと感じます。収束の兆しは一向に見えず、不安がますます大きくなるばかりです。只々、早い収束を願い、私たち一人ひとりができることは、きっちりとやることと改めて思います。
新型コロナウイルス感染症で一変した社会やくらしの中で、私たちが取り組む差別や人権の問題も、ますますきびしくなっています。しかし、また、コロナ差別といわれる中で、いわれなき偏見や差別が人々を苦しめること、その中で、人のいのちや人権の大切さに気づくことがあったのではないでしょうか。そのことをお互い大切にしていきたいものです。
私たち市町村「啓発連協」は、啓発活動によって、差別や偏見をなくし、いのちと人権を大切にしようという社会の雰囲気と人々の意識を変えることをめざして日々活動を進めています。
毎月11日は「人権を確かめあう日」を活動の基軸にして、「人権のまちづくり」をめざして活動をしています。一人ひとりを大切にして、あたたかく包み込む地域社会をつくっていこうと考え取り組んでいます。ともにがんばっていきましょう。


2021年1月

確かな一歩を進めよう!

新年あけましておめでとうございます。
昨年は、新型コロナウイルス感染症が猛威をふるい、社会に大きな影響を及ぼし、改めていのちと人権の大切さを痛感しました。差別や偏見をなくして、人権をより確かなものにしていかなければならないと決意を強くする一年でもありました。このような中、市町村「啓発連協」の活動に対して何かとご協力を賜り感謝いたします。ありがとうございました。
新年を迎えましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に歯止めがかからず、不安が募り、先の見通しが立たない状況です。一日も早く収束してくれることを願うばかりです。
2021年、市町村「啓発連協」は、結成34年目を迎えます。長年、毎月11日は「人権を確かめあう日」を基軸に、だれもがいきいきと暮らせる「人権のまちづくり」を進めています。
差別や偏見が、忌避や排除となり、人々の「いのちや人権」を脅かすことを、新型コロナウイルス感染症が拡大する中で改めて強く感じました。社会がどのような状況になっても、このような人々を苦しめる差別や偏見、忌避や排除を絶対なくしていかなければなりません。今年は丑(うし)年です。確かな歩みで一歩一歩啓発活動に取り組み、差別をなくして人権の確立をめざして「人権のまちづくり」を進めてまいります。
2021年も市町村「啓発連協」をどうかよろしくお願い申し上げます。


2020年12月

12月は「人権週間」です!

12月になりました。歴史に刻まれるであろう2020年もあと1ヶ月となりました。新型コロナウイルス感染症の拡大がはじまって9ケ月が経過しましたが、寒さと共に新型コロナウイルス感染症がまた拡大しつつあります。感染対策をしっかりとして向き合っていきましょう。。
さて、毎年「12月4日から10日まで」は人権週間です。1948年12月10日に、国際連合第3回総会において「世界人権宣言」が採択されました。日本では、翌年の1949年から採択を記念して、この期間を「人権週間」と定めています。この機会に一度、人権について考えてみませんか。
今年は、新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、人々に対するひぼう中傷、排除などの差別行為、人権侵害が多く起きています。また、インターネット上でも差別投稿やデマの拡散が起きています。新型コロナウイルス感染症拡大にともなう差別行為や人権侵害によって、差別がより深刻化したと感じています。私たちすべてが、日々の生活の中で、いつこのような不条理な場面に出くわすかもしれません。
この現実に対して、私たちが長年にわたって学び進めてきた人権尊重のための考え方や方法を拠り所にして、「いのちと人権」について、より深く思いを寄せ、行動を起こすことが必要です。社会がどのような状況になっても、このような人を苦しめ悲しませる差別行為や人権侵害は絶対にあってはなりません。しっかりと対応し、なくしていくことに努めましょう。
市町村「啓発連協」は、これまで“人は等しい”を合言葉に、毎月11日は「人権を確かめあう日」を基軸として啓発活動に取り組み、お互いの人権を尊重して、人と人のつながりを大切にする「人権のまちづくり」を進めています。誰ひとり排除されず、すべての人を包摂し、人に優しい地域社会をみんなでつくっていきましょう。
 

2020年11月

小さな波を起こしましょう!

11月に入り、2020年もあと2ヶ月となりました。新型コロナウイルス感染症の拡大がはじまって8ケ月が経過しました。新型コロナウイルス感染症の影響は、私たちがこれまで積み上げてきたものが、一度に失なわれたり後退するなど考えられないほど大きなものとなっています。
そのような中で、私たちが進める「人権」についても、ひぼう中傷、排除などの差別行為が多く起こっています。また、インターネット上でも差別投稿やデマの拡散が起きています。私たち市町村「啓発連協」は、これまで“人は等しい”毎月11日は「人権を確かめあう日」を基軸として啓発活動に取り組み、お互いの人権を尊重して、人と人のつながりを大切にする「人権のまちづくり」を進めています。
社会がどのようなに変化しても、このような人を苦しめる差別行為や人権侵害は絶対にあってはなりません。私たちは、常に差別に対する感性を磨いておくことが大切です。日々の生活で、いつこのような不条理な場面に出くわすかもしれません。そんな時、「それはだめ」と一言声を上げることは大切です。きっとその一言が、波紋となって広がっていくことでしょう。みんなで人権の波を起こしましょう。
 

2020年10月

Stopコロナ差別!大切にしよう人権!

“暑さ寒さも彼岸まで”の言葉通り、お彼岸が過ぎ10月に入るとめっきりと涼しくなりました。真夏の40度近い生命に関わる暑さが、遠いものに感じる近頃です。
一方で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大は収まらず、季節性インフルエンザの流行時期を迎えさまざまな影響が懸念されています。ワクチンや特効薬の開発が急がれていますが、まだまだ当面の間は、「withコロナ」として新しい生活様式を維持しながら付き合っていくことになります。
そのような中、新型コロナウイルス感染症に関して、感染者、医療従事者やその家族、感染者が出た学校や職場など関係者へのひぼう中傷、排除などの差別的な行為が起こっています。また、インターネット上でも差別的な投稿やデマの拡散などが起こっています。このような状況は許しがたく、強い憤りを覚えます。何時いかなる場合であろうとも、差別や偏見は絶対にあってはなりません。
私たちは、だれひとり排除されることのない、お互いを尊重しあえる地域社会をつくっていかなくてはなりません。
人と人のつながりを大切に、お互いの人権が尊重され、生き生きと暮らすことができる「人権のまちづくり」をみんなですすめていきましょう。

2020年9月

人権尊重は、人間と社会の原点だからです

9月に入りました。暦の上では秋ですが、今年は残暑がことのほか厳しい毎日です。近年の暑さは生命にかかわる危険なものです。そこに今年は新型コロナウイルス感染症が猛威をふるって一向に収束が見えてきません。新しい生活スタイル(こまめな手洗い消毒、咳エチケット、体温測定、3密の回避、こまめに喚起等)も定着してきているとは思いますが、私たちの中に、まだまだコロナという未知のウイルスに対する恐怖が強くあると思います。
「このウイルスは見えません。ワクチンや薬もまだ開発されていません。わからないことが多いため、強い不安や恐れを感じ、振り回されてしまうことがあります。それらは私たちの心の中でふくらみ、気づく力・聴く力・自分を支える力を弱め、瞬く間に人から人へ伝染していく」と言われています。
このような不安や恐れが、医療従事者やウイルス感染者とその家族等への差別や偏見につながり、人と人との信頼関係や社会のつながりを壊していると思います。
市町村「啓発連協」は、啓発活動によってあらゆる差別や偏見をなくして、人にやさしくすべての人の人権が尊重される社会「人権のまちづくり」に長年取り組んでいます。新型コロナウイルス感染症と立ち向かう社会に生きている今、私たちは、このことを最も大切にしていきたいと考えています。なぜなら、人権尊重は人間と社会の原点だからです。
早く涼しい秋を感じたいですね!
 

2020年8月

どう生きるかが問われています

8月に入りました。今年は梅雨が長く、明けたとたんに8月ということになりました。それにしても今年の梅雨は長く続き、大変な豪雨となり九州を中心に全国で大きな被害が出ました。被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。 さて、8月と言えば、8月6日、8月9日、8月15日など大切な記念日が続きます。さらに、8月11日という、毎月11日は「人権を確かめあう日」の原点となった同和対策審議会答申(1965年8月11日)が出された日があります。このように8月は「戦争・平和・人権」について、改めて一人ひとりが考えなければならない大切な日が毎年巡ってきます。 今年はまた、全国で再び広がり始めている新型コロナウイルス感染症が、大きな問題として私たちにのしかかっています。その中で、感染者や医療従事者に対しての差別や人権侵害が引き起こされている現状があります。見えないもの、わからないものへの恐怖心が、その行動に不安をもたらし、個々の人権を脅かす状況が生まれているのです。差別や人権侵害は、偏見や忌避や排除等の意識から起こります。差別的な言動に同調しないようにしましょう。そして、お互いの人権を守りましょう。 市町村「啓発連協」は、毎月11日は「人権を確かめあう日」を基軸にして長年にわたって「人権のまちづくり」を推進しています。差別をなくして人権が尊重された社会をめざして日々活動を展開しています。新型コロナウイルス感染症は、私たちのこれまでの社会や生き方などを全く違う形に変えようとしています。しかし、どのように社会が変化しても、私たちは人権を大切にしていかなければならないと考えています。新型コロナウイルス感染症と向き合う時代をどう生きるかが私たちに問われています。

2020年7月

人の間と書いて人間です

7月に入りました。いよいよ今年も半分が過ぎたことになります。
新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言も解け、外出自粛も全面的に解除され、新しい生活スタイルの中で活動が再開され日常が戻ってきました。 この間に多くの人がテレワークやオンラインでの会議、授業などの方法が試みられ、これからの社会を支えるひとつの手法として定着しつつあります。集まっての会議、出張や出勤等がなくなるかもしれません。これまでのやり方や在り方がここ数ヶ月で一変したようにも思います。そこで懸念するのは、人と人とのあたたかいつながりや交流が減少し、心の距離が遠ざからないかということです。なかにはほどほどの距離がいいという人もいるかもしれませんが。
人間とは、人の間と書きます。私たちは、やっぱり人と交わりあって生きてこそ人間の本来の在り方であると思います。市町村「啓発連協」が進める「人権のまちづくり」も、私たちのまわりから差別をなくして、人権を確立し、人と人とのあたたかいつながりや交流をめざすことを目的としています。
新型コロナウイルス感染症にかかわっても多くの人権侵害や差別がおこり、虐待やDVも発生しています。新しい生活スタイルを進めていく中戻ってきた日常で、このような偏見や差別を鋭く見抜くため、人権感覚をさらに研ぎ澄ませることが大切だと考えます。
暑い夏を迎えますが、新型コロナウイルスの第2波第3波に充分気をつけながら乗り切りましょう。
 

2020年6月

「人権のまちづくり」をめざして

6月に入りました。新型コロナウイルス感染症が収まる気配が見えてきました。緊急事態宣言が解除され、社会も少しずつ動き始めました。しかし、これまでとは違った日常が始まっています。今や普通となった「新しい生活スタイル」を守っての生活となり、仕事など社会の形や動きも大きく変わりつつあります。このような中で第2波第3波の感染拡大に充分な注意が必要です。
今年は、新型コロナウイルス感染症によって、数ヶ月の間に世の中が一変しました。日々の生活が変わり社会の動きや流れが大きく変わりました。これまでの日常が、まったく違うものになりました。新型コロナウイルスは、人間関係や社会の在り方まで変えようとしています。
また、この間に、私たちのまわりでは、感染症への偏見や予断にもとづく排除、差別発言や誹謗中傷が頻発し、いじめ、DVや虐待が急増しています。さらに、感染者、医療従事者やその家族などへの人権侵害も発生しているのです。このように感染症は、社会問題となり、かけがえのない人間関係までも壊してしまう事態となっています。
市町村「啓発連協」は、長年“人は等しい”を合言葉に、差別撤廃と人権確立に向けて毎月11日は「人権を確かめあう日」を基軸にして取り組んできました。一人ひとりが、人権意識を高め「差別は許されない」という社会的な雰囲気や世論をみんなでつくってきました。新しい時代は、新型コロナウイルスと共存していかなければなりません。これまでとはちがう社会となり日常になると思われます。「人権」の取り組みにおいても、新しい考えや工夫など知恵と発想の転換が求められると思っています。新型コロナウイルス感染症の経験を、お互いの大切ないのちと人権をまもる「人権のまちづくり」に生かしていかなければなりません。ともにがんばりましょう。
 

2020年5月

かけがえのないものを守る

5月になっても新型コロナウイルス感染症は、一向に収まる気配がありません。緊急事態宣言が発令され、社会のあらゆる動きが止まり、私たちの日常もここ数ヶ月で一変しました。とにかく今は外出を最大限自粛して、感染がこれ以上拡大しないようにみんなで努めなければなりません。そして、お互いの生命を守りましょう。
今、私たちのまわりでは、感染症への偏見や予断にもとづく排除、差別発言や誹謗中傷、また、家庭内ではDVや虐待が起こっています。さらに、医療従事者、感染者やその家族などへの人権侵害も発生しているのです。このように新型コロナウイルスは、かけがえのない人間関係までも壊してしまう事態となっています。今は、みんなで支え合い、お互いの大切ないのちと人権を守る行動に努めましょう。
市町村「啓発連協」は、長年“人は等しい”を合言葉に、偏見や差別をなくして、人権をより確かなものにし、人々が豊かで幸せに生きることができる「人権のまちづくり」をめざして活動しています。すべての人を包み込み、安全で安心して生きていける社会、一人ひとりの人権が尊重される地域社会をみんなでつくっていきましょう。残念ながら、新型コロナウイルス感染症はまだ収束の兆しが見えませんが、私たちは、家族、知人友人、地域とつながり合い、支え合って、この危機を乗り切りましょう。
 

2020年4月

人権がないがしろにならないように

新型コロナウイルスは、収まるどころかすごい速さで全世界に広がり、人々の生活に大変な影響を及ぼしています。一ヶ月前の3月時点とは、まったく違うきわめて深刻な事態です。世界では、非常事態宣言が発令され「ロックダウン(都市封鎖)」があちこちで実施されています。
日本でも各自治体が外出の自粛を強く呼びかけています。これ以上感染が拡大しないことを願うばかりです。
新型コロナウイルスの収束が見えず、日々の生活や仕事等に大きな影響が出ています。人々は病気への恐怖や、先行きの不安をいっそう募らせています。恐れや不安は差別や偏見の引き金となり、インターネットでは感染症患者や医療従事者への誹謗中傷起こっています。
また、家庭内ではストレスなどからDVや虐待が起きている現状があります。
新型コロナウイルスは、かけがえのない人間関係までも壊してしまうのではないかと不安な気持ちになります。このような時だからこそ、よりお互いのいのちと安全と人権を守るような行動に努めましょう。
私たち市町村「啓発連協」は、長く「人権のまちづくり」に取り組んで来ました。毎年4月は、本来であれば4.11「人権を確かめあう日」一斉集会を県内21会場で、多くの参加者の下開催する予定でしたが、延期や中止を余儀なくされる事態となりました。
しかしながら、私たち市町村「啓発連協」は、「人は等しい」を合言葉に、人権を大切にし、より豊かに幸せに生きることができる社会をめざしています。このような時こそ、すべての人を包み込み、安全で安心して生きていける社会、一人ひとりが尊重される地域社会をみんなでつくっていきましょう。
新型コロナウイルスに充分気をつけて、この危機を乗り切りましょう。
 

2020年3月

今、大切なことは

今年の春は、それをのんびりと感じてはいられない雰囲気です。新型コロナウイルスが猛威を振るっています。このような事態は思いもかけぬことです。
人々は感染を恐れ、不安を募らせています。歴史をふり返れば、このような事態の時には、必ずと言っていいほどデマやうわさが流さています。社会の混乱をより煽ろうとする卑劣な行為です。今回も感染者への差別や偏見、外国人を危険だと思い込んだり、SNSでの不確かな情報による、必需品の買いあさり等、人びとに不安やパニックを呼び起こし、混乱により拍車をかけているように思います。
「見えない敵に脅かされた時、人はその敵があちこちに潜んでいるかのように感じてしまい、自分と同じような人々も脅威だと、潜在的な敵だと思い込んでしまう、それこそが危険なのです」と、このような戒めの言葉があるそうです。
私たち市町村「啓発連協」は、長く「人権のまちづくり」に取り組んで来ました。人権を大切にし、より豊かに幸せに生きることができる社会をめざしています。安全で安心して生きていけない社会、人と人の関係が壊れていく社会は、とても危なく脆く感じます。このような時こそ、お互いのいのちと安全と人権を守るような思いと行動に努めましょう。
 

2020年2月

もう、2月だ!

ついこの間、“新年あけましておめでとうございます。”と挨拶を交わしただけなのに、はや2月に入りました。
しかし、今年は暖冬で季節感がありません。気候変動や温暖化の影響でしょうか。小さなことでもこの状況を変えていくために、私たちに出来ることは何かを考えなければなりません。
市町村「啓発連協」も、差別をなくして人権を確かなものにするために32年間活動を進めています。日々の活動の中で、常に新たな発想や工夫を求めながら「人権のまちづくり」をめざしています。
「2月は如月(きさらぎ)ともいい、一説では「寒さで着物を更に重ねて着ること」とあります。一年の内で最も寒い時期です。しかし、暖冬で、暖かい日が続いています。このような時だからこそ、ぴんと張り詰めたものにしたいですね。私たち市町村「啓発連協」も、常に自らの胸に手を当てて、一層の緊張感をもって、取り組みを推進していきたいと考えます。
「まだ、一ケ月が経っただけだ。」と、「もう、一ケ月が経ったんだ」では大きな違いがあると思います。
さて、みなさんは、どちらでしょうか。今年も残り11ケ月です。
 

2020年1月

一人ひとりの熱い思いを力に変えて

新年あけましておめでとうございます。
今年も市町村「啓発連協」をよろしくお願い致します。
今年は子(ねずみ)年です。子(ねずみ)は十二支の一番目です。物事のサイクルが始まる年と言われます。市町村「啓発連協」は、今年33年目を迎えます。改めて、これまでの成果や課題をしっかりと確認し、新たな決意で歩んでまいりたいと考えます。
市町村と連携のもと、毎月11日は「人権を確かめあう日」を基軸に「人権のまちづくり」をしっかりと進め「差別は許されない」という雰囲気や意識を人々や社会の中にさらに浸透させていきたいと思います。
市町村「啓発連協」は、市町村の行政職員一人ひとりの差別撤廃と人権確立に対する熱い思いや考え方が大きな力になって動いていると考えています。いま、私たちを取り巻く差別や人権の状況は、依然としてきびしいものがありますが、お互いの力と力を合わせてこの状況を少しでも変えていきたいと考えます。
今年も一年どうかよろしくお願いいたします。
 

2019年12月

ためらわずにふるさとを名乗ること

12月に入りました。今年もあと1月です。
さて、12月といえば人権週間(12月4日から10日まで)です。差別問題や人権問題について考えてみましょう。自らの人権感覚や人権意識について考えてみませんか。
人間が人間を差別している。基本的人権が侵害されている。個人の自由が奪われ、人格が無視され、甚だしく傷つけられるようなことが今も厳然と起こっているとしたらどうしますか。
今から3年前の2016年12月16日ひとつの法律が公布・施行されました。「部落差別の解消の推進に関する法律」(部落差別解消推進法)です。現在もなお存在する部落差別をすみやかに解消していこうという法律です。
結婚や就職、土地や住宅の購入に際して依然として部落差別が存在しています。また、インターネット上への差別書き込み、行政の窓口への差別問い合わせ事象などが後を絶たない現状があります。わたしたち市町村「啓発連協」もこのような差別の現状を一日も早く解消するために取り組みを進めています。人権週間にあたり、今一度この法律がつくられた意義や目的について確認したいものです。
自分のふるさとを名乗っても、なんら不利益が起こらないような社会を早く実現しなければなりません。
「人権のまちづくり」にともにがんばりましょう。
 

2019年11月

「11」にこだわること 

11月に入りいよいよ今年もあと2ヶ月となりました。正月に立てた今年の計画も成果の程を確認しなければなりません。市町村「啓発連協」も毎月11日は「人権を確かめあう日」設定30周年の今年をふり返り、課題や問題点を見つめ、これからの活動に生かしていかなければと考えています。
ところで、市町村「啓発連協」は、この「11」にこだわり、とりわけ大切にしてきました。それは、「11」というのは、1965年8月11日に、「同和対策審議会答申」が出されたことに因んでいますが、「11」の「1」(ひと)を「1」(人)と読み替え、「11」を横にすると「=(イコール 等しい)になることから、「人は等しい」とし「11」を「10」(てん)と「1」(いち)として人権キャラクター「てんいち先生(人権まんがやイベントで活躍中)」を考え生み出してきたからです。
そして、「11日」を暮しのさまざまな場面で困っていること、悩み不安に思っていることを、人権の視点で見つめ直し、お互いの「人権を確かめあう日」にしようという呼びかけ活動を進めてきたのが、毎月11日は「人権を確かめあう日」の取り組みです。それゆえに、この11月11日には改めて今年を振り返るための大切な「11日」だと考えます。
さて、今年、みなさんは、「人権は大切だ」と考えることがありましたか。
 

2019年10月

だれも悲しませないために

いよいよ秋本番の10月となりました。10月いえば、暑さもおさまりとてもさわやかな季節のはずですが、近年は、地球温暖化の影響か、30度を超える日も珍しくなく、過ぎたはずの夏を感じるような気さえします。
その10月、ふり返れば、今から54年前の10月10日、当然温暖化などない、とてもさわやかな秋晴れの中、日本ではじめてオリンピックが開催されました。
その時から55年が経て、2020年、再び、日本でオリンピック、パラリンピックが開催されます。多くの人たちが日本を訪れることでしょう。世界の人々とのふれあいや交流が生まれることが今からとても楽しみです。
こうして、2度もオリンピック、パラリンピックという国際的大会が開催される日本ですが、人権のことを考えると世界の流れからは、遅れているとしか言いようがありません。例えば、男女平等の格差(ジェンダー・ギャップ)、セクハラやパワハラの増加、部落差別、障がい者差別、外国人差別、性的マイノリティの人たちへの差別、虐待やいじめ、インターネットによる人権侵害等、人権侵害が後を絶たないという現状があります。
生きづらさや困難を抱えて生きる人たちは、日本のみならず世界にとても多くいることでしょう。しかし、日本は経済、さまざまな技術、科学、医療など多くの分野で世界の先進国です。そして、2度もオリンピック、パラリンピックという国際的大会が開催される国でもあります。人々との出会いやつながりにおいて、一番大切な「人権」がこのように不確かではあまりにも悲しいと言わざるを得ません。日本は、世界を「人権」でもリードしていく立場にあると思います。さあ~、身のまわりの人権から考えましょう
 

2019年9月

やさしく ふかく おもしろく

「むずかしいことをやさしく やさしことをふかく ふかいことをおもしろく」このような言葉を、新聞のコラムで知りました。言い得て妙だと思います。とかく物事は、難しく表現しがちになり、それで、満足してしまうようなことが多々あります。しかし、物事は、多くの人に理解されなければ意味がありません。
私たち市町村「啓発連協」は、その名の通り住民に「啓発する」ことを目的にして活動を続けています。例えば、活動の一つに、4コマまんが「てんいち先生とひかりちゃんで学ぶ」があります。毎月、苦労に苦労を重ねてつくり出しています。出来映えはいろいろですが、「人権の大切さ」を一人でも多くの人に知ってもらいたい、感じてもらいたいと奮闘しています。今更ながら、「むずかしいことをやさしく やさしいことをふかく ふかいことをおもしろく」のことばが胸に響きます。「差別や人権のこと」を、わかりやすく伝えていくために、これからも「てんいち先生とひかりちゃん」とともにがんばってまいります。どうか、よろしくお願いします。
 

2019年8月

自らの胸に手を当てて

私たち市町村「啓発連協」は、1996年から毎年、県内各市町村、関係機関・団体のご協力のもと、「奈良県内差別事象調査」を実施しています。
調査をはじめて22年、さまざまな差別の現実と向き合い、差別を生む「社会のあり様」と「人権とは何か」について、差別意識の払拭と確かな人権感覚を育む取り組みを進めてきました。
しかし、根強い差別意識にもとづく事象が後を絶ちません。とりわけ部落差別については、「○○が同和地区か確かめたい」と電話や役所の窓口で問い合わせる事象が起こっています。また、インターネット上でも部落差別を助長拡大させる書き込みが増加しています。
予断や偏見、忌避や排除の差別意識がそこにあることは確かです。この意識を少し変えることができたら、差別と人権の考え方が変わり、人と人の関係も変わっていくと考えます。私たちが取り組んでいる「啓発」の中には、「自己啓発」というのがあります。自分自身の意識を変えていくことです。当然のことですが、相手を変えていくためには、自らも変わらなければなりません。自らの胸に手を当てて少し考えてみましょう。
 

2019年7月

継続は力なり

市町村人権・同和問題「啓発連協」は、1997年7月から人権4コマまんが「てんいち先生とひかりちゃんで学ぶ」を作成し、奈良県内の市町村広報誌に毎月掲載されています。社会で起こっているさまざまな問題について、差別や人権にかかわるテーマで4コマまんがにして、人権について考えてもらう一つのきっかっけづくりになればと願って取り組んでいます。このようにしてスタートした「人権まんが」が2019年7月で22年となりました。
ちなみに最初のまんがは、「てんいち先生の名前が『同対審答申』が出された11日から命名されていること、命や人権の重さはみんな同じだ」という内容でした。
最新となるこの7月のまんがの内容は、「役所への同和地区問い合わせ事象や部落差別解消推進法奈良県部落差別解消推進条例と7月は差別をなくす強調月間だ」です。
ほんとうに小さな活動かもしれませんが、こつこつと続けて来たことまた、これからも続けて行くことが、私たちの社会から差別をなくして、人権がより確かなものにするための力になればと考えています。
最後に、「ひかりちゃん」は、公募によって命名されましたが、水平社宣言の「人の世に熱あれ 人間に光あれ」に通じる名前です。これからも人権4コマまんが「てんいち先生とひかりちゃんで学ぶ」をご愛読いただきますようお願いいしたします。
 

2019年6月

その痛さを自らのものにして

「踏まれた者の足の痛さは、踏まれた者にしかわからない」という言葉があります。自分も同じ状況や立場にならないと、相手の痛みや苦しみがほんとうに理解できないという意味です。言い得て妙の言葉です。
今、インターネット上での誹謗中傷がとても多くなっています。パソコンのキーボタン押すだけで、いとも簡単に人を傷つけたり悲しませたりするのです。それなのにそのような行為者は、たぶん自らは何の痛みも感じていないと思われます。今、ネット上でこのような差別や人権侵害が繰り返し起きています。
かつて、差別事件が多く起こりました。そのつど差別者は、きびしくその言動を糾されてきました。その中で「他人の人権を侵してはならないこと。お互いの人権を守ることの大切さ。」を学んできました。つまり、「踏まれた者の痛さ」を自らのものとすることを学んできました。差別や人権侵害をなくす取り組みの必要性と大切さを実感してきました。
さて、一度自らふり返ってみましょう。
 

2019年5月

耕す日々

5月に入りました。薫風さわやかなとてもいい季節となりました。あちこちで畑や田を耕す風景が見られるようになってきました。やがて畑には野菜が育ち田では稲穂が実をつけることでしょう。私たちもまた人生というフィールドを耕しつつ日々を生きています。いつか実ることを信じて・・・。
私たち市町村「啓発連協」も人権というフィールドを「啓発」という手法で耕してきました。それは、差別をなくして「佳き日」を実現しなければならないという強い思いからです。30年余りにわたって、39の市町村が一致結束して同じ思いで日々取り組んで来ました。
ところで、「多(た)にして一(いつ)」という言葉があります。例えば、多くの木が集まって一つの森を形成しているように、多くの人が集まって一つの組織や団体が作られているように、39の市町村(多)が集まって市町村「啓発連協」(一)は結成されています。その中で求められるのは、それぞれの個性を磨き知恵を出し合って、多様性のある取り組みを推進していくことです。私たちは、多くの知恵と力を一つにして「人権のまちづくり」をめざしてこの道を邁進していきます。
さあ、みなさんも自らの目標に向って耕す日々を重ねていきましょう!
 

2019年4月

身近にある気づきを大切に!

桜があちこちで咲き始めました。いよいよ春本番、4月がスタートしました。
入学や就職の季節です。また、4月は何かにつけて新しい出発の時かもしれませんね。それぞれ自らが選んだ道で頑張ってほしいと思います。
過日、次のような話を聞きました。
ある催し会場にひとりの男性が訪れた時、スタッフの女性が、「そこにあるスカーフとっても素敵でしょう。ひとつ奥様にいかがですか。」と声をかけると、「いいわ、いままでプレゼントなどしたことないので」、「それなら絶対喜ばれますよ」、「そうかな? あなたはプレゼントもらったことある?」「誕生日や結婚記念日には、もらいますよ」。
後日、同じ男性が再訪して、「このスカーフもらうわ、どの色がいいかな」、「ありがとうございます。でも、急にどうしたのですか?」
この男性の話によると、あれから人権(DV)の講演会を聞きに行ったことや催し会場での女性スタッフの一言などで、心境に変化があったとのことでした。
この話の後日、この男性の連れ合いが訪れて、急なプレゼントに驚いたことやでも、うれしかったことを語っていたそうです。「ホット」するお話ですね。ますます絆が深まりますように‼
ところで、私たちは「啓発」という言葉をとても大切にして組織名にもしています。「啓発」とは、「手引きする、自力でさとる手口を与える」ことだと言われています。この話は、まさに「啓発とは何か」にぴたりとはまる逸話です。ありがとうございました。
 

2019年3月

新たな発想で新たなスタートを!

「1月は行く、2月は逃げる」のことば通り、あっという間に2ヶ月が過ぎ3月に入りました。「立春」、「雨水」、「啓蟄(けいちつ)」と、暦の節目を表す二十四節気は、肌身に感じる季節感とずれることも多いながら、今年も、春はもうそこまで来ています。
過日、新聞に一冊の本が刊行されたとの記事がありました。照会内容を見て大変興味がわいたので少し紹介します。
よく「歴史にifはない」、「過去を変えることはできない」、「考えるのは禁物」などと言われます。確かに、多くの人が後に、「あの時、ああしていれば」、「ああしていたら」と後悔を幾度か重ねたことでしょう。いわんや歴史を動かした人たちにおいてをや。
しかし、この本いわく、「『歴史のif」を考えれば、過去を単なる歴史と捉えるのではなく、現在や未来は変わりうるという発想の転換につながる」と提起しています。歴史は、後の結果だけしか見えないが、裏には、その時、実現しなかった計画や案があったはずです。そこに焦点を当てて、仮想を試みることが、現在や未来を変えていくことにつながるのではないかということです。
私たち市町村「啓発連協」も、この「発想の転換」をとても大切にしています。
なぜなら「啓発」を進める上でのベースと考えているからです。
「啓発」という言葉は、「手引きする。自力でさとる手口を与える」ことを意味します。つまり「きっかけやヒント、気づき」は、豊かな発想を生む源です。「啓発=発想の転換」と考え、日々いろいろな事業に取り組んでいます。
さあ、季節は春です。みなさん、新たな発想で新たなスタートをしましょう。
 
 

2019年2月

感動から生まれるものを大切にして!

「私たちは人間と違うんですか、こんなむごたらしい差別発言はありません。どないしてくれますねん。私たちは人間と違うんですか」。
これは、かつて県内で起こった差別事件の確認会での一人の参加者の「怒りのさけび」です。この「魂のさけび」に多くの人たちが大変な衝撃を受けました。
市町村「啓発連協」は、啓発活動を通して差別や偏見をなくして、真に人権が尊重される社会をめざして取り組んでいます。啓発の原点は、この事件で示されたような共感や共鳴、感動です。何ごとも人を動機づけるものはこのような気持ちや意識ではないでしょうか。よく歌には国境がないといわれます。言葉はわからなくても、悲しい歌は悲しく聞こえ、うれしい歌はうれしく聞こえます。これは人類が共有している感性(共鳴箱)のようなものがあるからだそうです。だからこそ人類は、第2次世界大戦の痛烈な反省から、「人権」の大切さを叫び「世界人権宣言」をつくりました。
このように人の行動を動機づける共感や共鳴、感動は、とても大きな力を持っています。大切にしたいものです。みなさんは、これまでいくつ感動的な体験をしましたか。
 
 

2019年1月

キーワードは「人権」です!

新年あけましておめでとうございます。
2019年がスタートしました。どうか今年もよろしくお願いいたします。
今年は干支でいうと亥年、つまり、猪の年です。文字通り猪突猛進で走りましょうか。それともゆっくりと歩くように進んでいきましょうか。それは、みなさんで決めてください。
さて、過日、新聞に次のような記事が掲載されていました。“新聞が、中高生約21,000人に、次の時代に求めることを尋ねたところ、「平和」が1位で、2位は「安全」、3位が「安心」ということであった。戦争のない世の中、自然災害の怖さや備えの大切さ、いじめや虐待をなくそうとの思いや願いの現われであり、「平和、安心、安全」が、人の命を守ろうとする点で似通う。”とあり、最後に、この結果は、編集室の予想を覆したとありました。
今の日本の立ち位置や社会状況をみごとに映したアンケート結果ではないでしょうか。おとな以上に、いやおとなより将来に不安や危機感を抱いていると感じます。そして、この3つの言葉「平和、安心、安全」の根底には、「人権尊重」というキーワードがあることも若者たちには、織り込み済みであってほしいと願います。さらに、「平和、安心、安全」は、大変な努力の積み重ねの上に築かれていくものであることも改めて確認しておきたいと思います。
さあー、みなさん今年も、元気でがんばりましょう。
 

2018年12月

新しい年への決意を!

12月に入り2018年も残り1ケ月となりました。そして、この1ケ月はとても慌ただしい中で過ぎていくことでしょう。しかし、忙中閑ありと言います。ここで少し立ち止まって、今年を振り返ってみませんか。
さて、毎年、12月4日から10日までの一週間は、「人権週間」です。1948年12月10日、国際連合第3回総会において世界人権宣言が採択されました。周知のように世界人権宣言は、人類に多大な惨禍をもたらした第2次世界大戦を痛烈に反省する中から生み出されました。宣言は、その中で「すべての人間が平等である」こと「いかなる理由による差別も受けない」こと強調しています。2018年は、この世界人権宣言が採択されて70周年という記念の年にあたっています。しかし、私たちの生きる社会は、未だこの世界人権宣言の精神が充分に生かされていない現実があります。
 
第1条 すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ
尊厳と権利について平等である。人間は、理性と良心と
を授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しな
ければならない。

と世界人権宣言第1条ではうたっています。
今年の反省と来年への決意を込めて、少し時間を取ってお互い一年の締めくくりをしてみませんか。
 

2018年11月

「人権感覚」磨いていますか?

差別が、どれほど人間としての尊厳を奪い去り、生きる権利までも奪ってきたか。そして、差別をした側の人や人たちの人権までも奪っていくことになるのだということを、この事件を通じてつかみ取ってもらいたい。そして、他人の人権を守ることによってのみ、自らの人権もかちとれるものだということに覚醒してもらいたい。

これは今から36年前、奈良県内で起こった差別事件の内容や経緯等をまとめた資料の中の言葉です。
人を傷つけ、人権を侵害しても何も思わないし感じない、そして、だれからも咎められないことなどあってはなりません。しかし、今、インターネット上では、特定の個人や団体に対する誹謗中傷やヘイトスピーチなどの差別事象が横行しています。
『誰の仕業かわからないこと、インターネットが自分だけの世界と感じ、何をしてもいいと思い込んでしまうこと、自分より下のものを攻撃することで、劣等感が優越感になること』などが、差別行為の主な要因ではないかと、心理学の専門家が言っています。
どのような理由や原因があろうとも、人の命に関わる差別は絶対に許されるものではありません。それは、資料の言葉のように差別者自身の人権も傷つけ奪われて行くことになるのです。人は、その行為を咎められ、指摘されて初めて気づき反省することが多いと思います。
しかし、大切なことは、日頃から豊かなものの見方、考え方を育て、差別意識の芽を摘み取る人権感覚を自ら培うことです。改めて人権啓発や人権教育の大切さを痛感します。差別のない社会実現のため、共にがんばりましょう。
 

2018年10月

生きやすさを求めて

10月に入りました。猛暑や酷暑と言われた今年の夏も過ぎ、やっとしのぎやすい季節を迎えました。でも地球温暖化による気候変動のせいでしょうか、ここちよい秋も一瞬で過ぎ去るように感じます。
秋と言えばスポーツの秋ですね。さぁ~ 好天の下、いろいろなスポーツに参加し楽しんでみてはいかがでしょうか。ところで、今年もスポーツ界では、アメリカンフットボール・レスリング・体操とパワハラが大きな問題となりました。さらに、大相撲地方巡業での「女性は土俵から降りてください」との女性差別につながるような事象が社会的な議論を呼びました。いずれも旧態依然とした考え方や組織のあり方が問題の根底にあるように思います。伝統や慣習もその時代に照らして、変えるべきは変えていくべきではないでしょうか。
自分が解決できないなら社会も解決できるわけがないという考え方は、決して確かな明日につながりません。思いは行動につなげていきましょう。私たちが求めてきたのは、差別や偏見等によって、個々人が理不尽な思いをしたり、排除されたりしない社会です。
今の時代は多様性や個性が求められる時代と言われます。ベースには人権尊重があります。だれもが生きづらさではなく、生きやすさを実感できる社会を早くつくっていきましょう。
 

2018年9月

気づけば変わる、変われば行動へ!

最近、差別メールが団体や行政に相次いで送られる事象がありました。部落差別にかかわるきわめて悪質なものです。インターネットに流れる誤った情報を簡単に信じて、特定の相手を誹謗中傷するようなメールを送ったと思われます。
インターネットでは、お互いに顔も見えないし、声も聴くことはできません。そのことを悪用し、偏見や予断に基づいて、このような差別メールを送信したものと考えられます。どうして人は、このように差別をするのでしょうか。差別することによって、自己満足や優越感を得るためなのでしょうか。
人は生れながらに「言語の能力」「倫理(理性)の能力」「差別の能力」があるといわれています。だからといって人は、差別に徹することはできないといいます。なぜなら「倫理(理性)の能力」がブレーキの役割を果たすからです。だから何かのきっかけで、差別することの過ちに気づけば、差別に徹するのではなく、むしろ差別をなくす社会的な闘いや取り組みに参加するとさえいわれています。
私たち市町村「啓発連協」は、啓発活動を通して、差別や人権侵害を許さないという社会的雰囲気や世論を高めていくことをめざしています。お互いに人権をより確かなものにするために、差別に気づき、意識を変えて、差別をなくしていくための行動を起こしていきましょう。ともにがんばりましょう。
 

2018年8月

人ごとではない、わがことです

7月の豪雨災害の後、「楽観主義バイアス」とか「正常性バイアス」という言葉がメディアによく出てきます。「自分はこれまで普通に生きてきたのだから、大変なことは起きないだろうと考えること」また「予期せぬ出来事に対して、ある程度の限界までは自分は大丈夫、今回は大丈夫などと考えてしまうこと」で、心理学で使われる言葉だそうです。つまり、バイアス(先入観や偏見、勝手な思い込み)によって、災害や事故など予期せぬ出来事で逃げ遅れの原因になると言われています。時として、いのちに関わる事態になりかねないのです。
ところで、私たち市町村「啓発連協」は、予断や偏見が差別につながることから、これらの意識を変えていくため啓発活動に長年取り組んでいます。差別は、いのちにかかわる問題です。このことから決して無関心ではいられない問題です。わがこととして考えることが大切です。
「啓発」とは、「人々に強い問題意識を喚起して問題解決に導くための手引きをすること」です。差別や人権に関心を抱いてもらうために、そして、考えてもらうために、毎月11日は「人権を確かめあう日」の事業を中心としてさまざまな事業を展開しています。
このように「バイアス」がいのちに関わる問題に直結しているのであれば、改めなければなりません。そして、なくしていいかなればなりません。いのちを守るために意識変革をはじめましょう。災害も差別も人ごとではない、わがことです。
 

2018年7月

「いのち」にかかわる流言飛語

「流言飛語(りゅうげんひご)とは、世の中で言いふらされる確証のないうわさ話。根拠のない扇動的な宣伝。デマ。」と辞書(大辞林)にあります。
予断や偏見は、差別につながり引いては、いのちにかかわる問題です。大阪北部地震の直後、またしてもSNSで外国人がコンビニ強盗を始めるなどと、差別を扇動する投稿が多数あったことと、このようなニセの情報に注意をするように呼びかける報道が新聞やテレビありました。
SNSを使ったデマは、これまでも熊本地震や東日本大震災でも確認されています。混乱に乗じて、特定の人たちへの悪質極まりない差別的な行為に強い憤りを感じます。今から約100年前に起こった関東大震災では、デマによって多くの外国人のいのちが奪われました。この歴史的教訓を私たちは改めて認識し共有することが大切です。同じ過ちを繰り返してはなりません。
ネットで誤った情報を得ても、それを直ちに信じないような具体的な知識を日頃から培い持っておくことが必要です。かつて起こった差別事件や事象から学ぶことです。そして、具体的な行動を起こしていくためのスキル(それがデマだと指摘する。それが差別につながるなどの指摘をする。)を身に着けておくことが大切ではないかと考えます。
知らないことで自分自身が差別を行ってしまう可能性があります。差別に反対する側もネットでつながり対応していくことも必要です。うわさやデマは、時に、いのちにかかわる問題です。だれもが差別に苦しむことのない社会を早く実現しましょう。
 
 

2018年6月

「人は等しい」社会をめざして!

「ジェンダー・ギャップ指数」をご存知ですか?
男女平等の度合いを指数化したものです。
その中の、特に女性の地位を経済、教育、政治、健康の4分野で分析したものでは、世界の調査対象144カ国のうち日本は111位であったことが、世界フォーラム(WEF)の2017年版で報告されています。
女性がいろいろな場で思いっきり活躍できる社会を早急につくっていかなければなりません。
今、私たちのまわりでは、セクハラ、パワハラの事象が頻繁に起こり社会問題になっています。
根底に男尊女卑や弱者に対する侮蔑の意識がいまだに存在するとしか思えません。
人権意識の欠如、人間の尊厳を蔑ろにする意識を如実に感じます。
由々しきことで、きわめて残念です。
日本は、この「ジェンダー・ギャップ指数」のとおり、まだまだ男性中心の強者が優位な社会なのでしょう。
市町村「啓発連協」は、長年、差別撤廃と人権確立の取り組みを進めています。何物にも変えがたい「人間の尊厳」を守る営みを続けています。
だれもが差別や人権侵害などに苦しむことのない社会をめざしています。
「○○○ギャップ」という言葉などない、誰もが認められ尊重された「人は等しい」世の中をめざしていかなければなりません。
ともにがんばりましょう。
 
 

2018年5月

考えるより感じましょう。そして、行動を!

セクハラ、パワハラ、児童虐待など、今、私たちのまわりで、このような事件・事象を報道されない日がないくらいに、日常的に起こっています。
人権や生命があまりにも軽んじられることに、怒りや悲しみでとても心が痛みます。
しかし、この現実を自らが受けた傷のように感じる人は、少ないのではないかと思います。
人間は、考えるより感じることの方がむずかしいからです。
でも、私たちが感じようが感じまいが、また、問題意識があろうとなかろうとメディアは連日のように報道し、どんどん呼びかけてきます。
これで、たった一人でもいいから、何かの行動を起こすきっかけになればとても意義があることです。
これが「啓発」です。
市町村「啓発連協」は、長年、この「啓発」を拠り所として、差別撤廃と人権確立の取り組みを進めています。
「啓発」とは、人々に強い問題意識を喚起して、問題を解決へ導くための手引きをすることです。何かのきっかけがあれば、人の意識に変化が起こり、行動へと繋がっていきます。
今、私たちのまわりでは、メディアが報道しなくても、多くの差別や人権侵害が起こっています。現状を知ったら、考えるより感じて向き合うことが大切ではないでしょうか。
行動を起こすことが重要ではないでしょうか。
豊かで暮らしやすい社会をつくっていくために、ともにがんばりましょう。
 
 

2018年4月

毎月11日は「人権を確かめあう日」30年です!

まだ4月になったばかりなのに、今年は桜が早くも満開を過ぎようとしています。
「桜前線」も一気に進んでいます。あんなにも寒かった今冬でしたのに・・・。
自然界のことは、わからないことがいっぱいですね。
でも、いよいよ本格的な春です。
そして、新年度がスタートします。
 
市町村「啓発連協」は、昨年結成30年を迎えました。
そして今年、1989年から始まった、
毎月11日は「人権を確かめあう日」の取り組みが、4月で30年になります。
この間、“人は等しい”を合言葉に、
差別をなくして人権が尊重された「人権のまちづくり」をめざして種々とりくみを展開してきました。
4月から、毎月11日には、暮らしのさまざまな場面で困っていること、
悩み、不安に思っていることなどを、人権の視点で見つめ直し、
お互いの人権を“確かめあう日”にしていきましょう。
まさに「桜前線」のように、
この私たちの営みが、徐々に社会の隅々まで届き、
すべての人たちの人権が尊重され、
ゆたかに暮らしていける社会づくりに繋がればと願っています。
 
桜が終わっても、これからは、次々と木々や草花が芽を吹き咲き誇ります。
時に癒され時に勇気と元気をもらってがんばりましょう。
ともにゆたかで生き生きと暮らせる地域社会をつくっていきましょう。
 
 

2018年3月

人の世に熱と光を!

この冬はことのほか寒かったですね。
やっと3月を迎えたとの思いです。
まだもう少し寒さは残るでしょうが、日一日と輝きを増す日差しに春を感じます。
まさに「光の春」という言葉が実感できるようになってきました。
そして、じきに小鳥の初鳴きなどが告げる「音の春」も近いことでしょう。
今年も春はもうすぐです。
 
ところで、3月と言えば、今から100年近く前の1922(大正11)年3月3日、
「全国水平社創立大会」が開催されたことが思い浮かびます。
「全国水平社」とは、部落差別からの解放と部落差別によって奪われてきた「人間の尊厳」を、
取り戻すための闘いを進めるために結成された組織です。
この創立大会で読まれたのが、「人の世に熱あれ 人間に光あれ」と結ばれた600字余りの宣言で、
日本最初の人権宣言と言われるものです。
この日(3月3日)、大会に参加した多くの人たちの喚起と熱気の渦の中で、この宣言文は採択されました。
以来、「全国水平社」の活動は、きびしい差別からの解放という、
まさに熱と光であふれる社会“春”を取り戻すための苦闘の連続でした。
しかし、この熱望の“春”は巡る季節のように待っていても訪れません。
人が自らの力でつくり出していくものであり、築き上げていくものです。
私たちは、今このような差別をなくす取り組みの歴史から学ぶことが大切です。

さぁ~春です。
私たちも熱と光があふれる「人権のまちづくり」に向けて、力いっぱい進みましょう
 

2018年2月

今、自覚がなかったでは許されないですよ!

最近、フェイスブックに書き込んだ内容がヘイトスピーチにあたるとして、
多くの人たちから抗議を受け、議会議員を辞職するという事件が新聞やテレビなどで大きく報じられました。
この議員は、「自分自身が、不勉強で、ヘイトスピーチや人権侵害について全く自覚がなかった」と語っています。
指摘があってやっと自らの非を認め謝罪するという事態です。

今、インターネットを使った差別事象が増加しています。
特定の個人や団体を誹謗中傷したり、被差別部落の動画を自らのサイトにアップするなどして
差別意識を煽るような行為が頻発しているのです。
予断や偏見などにもとづく差別意識で、その人の責任でないことを理由にして、人権侵害をする行為が増加しています。
直筆の投書や落書きと違って、フェイスブックのようにインターネット上に書く行為は、
瞬時に拡散して多くの人が見ることになります。
そして、この事件のような内容であっても同調する人がいるわけです。
今、差別はこのようにして広まり、多くの人を傷つけ苦しめています。
「不勉強で人権侵害について、自覚がなかったという自らの意識」を、
フェイスブックのようにインターネットなら簡単に責任や立場も忘れて吐露できるということ、
そして、それに同調する人が多くいることに強い怖さを感じます。

2016年、部落差別をなくそうという「部落差別解消推進法」と
ヘイトスピーチをなくしていこうという「ヘイトスピーチ解消推進法」が、
相次いで施行されました。ご存知でしょうか。
差別的な言動は、人を傷つけ苦しめます。
時には生命にかかわります。
今、「人権侵害について、自覚がなかった」では、許されません。
しっかり勉強して、こうした人権侵害の現状について自覚して、
このような事件や事象をなくして、暮らしやすい社会をつくっていきましょう。
 

2018年1月

戌年に思う!

2018年は、毎月11日は「人権を確かめあう日」30年です
 
新年あけましておめでとうございます。
今年も変わりませずよろしくお願いいたします。
 
さて、2018年は「戌 いぬ」年です。
「犬」は猟犬や番犬として、古くから私たちの身近な存在でした。
今では、ペットや大切な家族の一員となっています。
ものは言わないけれど、いつも側にいて、
家族の性格や気持ちを敏感に感じ取ってくれます。
寂しい時、悲しい時、人には言えない悩みも、
ワンちゃんには聞いてもらえる。とよく言います。
やさしく寄りそってくれる愛犬に癒され、
絶対の信頼を寄せてくれる姿に、励まされているのです。
 
今、私たちは、人と人の絆が弱くなっていくように感じることが多くなりました。
くらしの中で無縁化し、孤立感を覚える人が増えています。
私たちは、お互いに頼りにされ、つながることに喜びを感じます。
それが自信となり、生きる力になるのです。
誰にとっても、ぬくもりや、やさしさ、あたたかい言葉が必要です。
愛犬やペットがいつも私たちの側にいてくれるように、
私たちもお互いに寄りそい、支え合う社会を創りたいですね。
 
2018年は、市町村人権・同和問題「啓発連協」が提唱・設定した
毎月11日は「人権を確かめあう日」が30年を迎えます。
誰もが大切にされ、みんなが輝いて生きることができる、
「人権のまちづくり」に向けて、力をあわせてがんばりましょう。

2017年12月

「人権週間」に思う!


最近あいついで国会議員による差別的な発言がありました。
アフリカの人たちとLGBT(性的少数者)に対しての人権侵害とも思われる発言です。
国会議員は選挙で選ばれた公人です。
それゆえに、その言動は極めて重く大きいものがあります。
早速反省の弁を述べ、謝罪し撤回をしましたが、とても腹立たしく残念です。

ところで、毎年12月4日から10日までの一週間は「人権週間」です。
あらためて人権の大切さについて考えてみましょう。
差別や偏見がどれだけ人を苦しめ悲しませ傷つけているか、こうした事象があるたびにきびしい指摘や抗議があって、やっと事の重大さに気づき、謝罪や弁明に至っています。
社会では、いまも予断や偏見による差別が、多くの人を苦しめ傷つけ、時には死に至らしめることがあることを学ばなければならないと思います。
「人は差別性を身につけずに育つことは、不可能なことかもしれないが、一方で人の倫理的な意識が差別性を抑制し、さらに発展させる力を持っている」そうです。
つまり、「人は差別がいけないことだとわかったら、無くしていくために努力をする」ということです。
人権について関心がなかったり、自分には関係ないなどと思ったりしたことがあったとしても、今回のような私たちの代表である国会議員の起こした事象を機に、人権について見つめ直したいものです。

12月は一年の締めくくりです。
今年をふり返って掴んだものを新しい年の糧にしましょう。

2017年11月

スポーツの秋に思う

スポーツの秋たけなわです。
日本では野球の日本シリーズ始まりました。
海の向こうでは、大リーグのワールドシリーズが、連日熱戦の様子が報道されています。
そんななかワールドシリーズで試合中にひとりの選手が、相手チームの選手に対して差別的言動(アジア人に対する差別的しぐさ)をしたとして、来期開幕から5試合の出場停止処分となったと伝えられています。
毅然とした素早い対応に拍手を送りたいと思います。
スポーツ界を含む社会全体からこうした差別をなくしていかなければなりません。
それにしても、こどもからおとなまでが楽しみ熱狂するプロスポーツの世界で、あってはならない差別言動を改めて知り考える機会となったことはプラスなことと言えるでしょう。

このように人権について考える機会は私たちの身近にあります。
かつて研修会で、「人権の取り組みによって、今の自分が救われている」という話を聞きました。過去に差別事件があり、差別をなくすためにいろいろと取り組んできたことが、実は自分の人権も守られていることに気づいたということです。
この大リ―グの選手も今回のことを深く反省し、「私の行為で傷つけられた全ての人に心から謝罪する。深く後悔している。」との声明を出しています。
今後、スポーツの世界だけでなく、一人の人間として、差別と人権に向き合って活躍してくれることを信じます。

さて、熱い闘い、今年はどのチームが優勝するかな?

2017年10月

人と社会が変わっていくために

規範(きまり)は人の意識を変え、行為や態度を変えることができると言います。
引いては社会を変えていくことにもつながるものと思います。
過日、ある自治体で「バーベキュー等を禁止する条例」を制定したと新聞にありました。
河川敷や空き地でのバーベキュー等を楽しむ人たちのマナーの低下に業を煮やしてのことだそうです。
これまで地元住民や行政が、お互いに気持ちよくバーベキュー等を楽しんでほしい”
と呼びかけてきたにもかかわらず、一向に改善されなかったといいます。
“これからはこの条例に基づいて、ごみ等の管理が適切に行われる場所で、
お互いに気持ちよく楽しんでほしい”と呼びかけるとしています。
自分本位の行為が周りの多くの人に迷惑をかけ不快な思いをさせているのです。
そのことの理解と認識を求める呼びかけであり、雰囲気づくりであると思います。
 
ところで私たち市町村人権・同和問題「啓発連協」は、
30年前から部落差別撤廃とあらゆる人権侵害を許さない社会的雰囲気、
世論高揚をめざして啓発活動を展開しています。
「啓発」という手法で、差別や人権侵害を一日も早くなくしていきたいと取り組んでいます。
しかし、今も悪質な差別が多くの人を傷つけ悲しませています。
人の意識を変えていく営みはけっして簡単なことではありませんが、
地道な継続した日頃の活動がかならず成果につながると信じています。
そして、昨年施行された、
「部落差別解消推進法」、
「ヘイトスピーチ解消推進法」、
「障害者差別解消法」の人権3法律や
「奈良県障害のある人もない人もともに暮らしやすい社会づくり条例」を、
人々の意識を変えることにつなげていきたいと思います。
早くだれもが住んでよかったと思える社会や地域をつくっていかなければなりません。
人と社会が変わっていくために、今自分ができることをがんばりましょう。

2017年9月

わずかな隙間を見つけ、新しい発想・発想の転換を試みよう!

“今求められていることは、現社会構造のわずかな隙間を見つけ、新しい発想・発想の転換を試み、心豊かな人々の存在する社会を構築することだと思います。”
これは市町村人権・同和問題「啓発連協」結成30周年に寄せられた初代事務局長の「特別寄稿」の一文です。
 
市町村人権・同和問題「啓発連協」は、今からちょうど30年前の1988年6月、差別撤廃と人権確立を願う行政関係の人たちによって結成されました。当時は、長い歴史を持つ解放運動、学校教育、人権教育推進協議会などが、社会にうずまくきびしい差別に果敢に向き合っている時代でした。しかし、人々の人権意識はきわめて低調で、差別事件や差別事象も続発していました。
これは、「何かが欠けている、何かが不足している」からだと関係者らは考えました。その結果、行政がこれまで何もはたしてこなかったことに気づきました。1965年に同対審「答申」が示した「同和問題の解決は、行政の責務だ」という重い指摘が、ことばだけに終わっていたのです。何の手立てもしていなかったのです。この深い反省の中から「啓発連協」が誕生しました。
まさに、そこにわずかな隙間があったのです。そのわずかな隙間を広げ、毎月11日は「人権を確かめあう日」を基軸とした取り組み、「てんいち先生」「ひかりちゃん」の人権キャラクターと人権まんが、着ぐるみ、インターネットと人権をテーマとしたシンポジウム、ならヒューマンフェスティバル等、今日の啓発活動に発展させてきました。そして、「啓発連協」誕生以前から活動を進めている団体とも連携をはかり、「啓発」「教育」「運動」という差別撤廃と人権確立の取り組みの道筋を明確にしてきました。
 
しかし、新しい発想・発想の転換は、ことばで表現するほど簡単ではありません。常日頃、問題意識をもって物事を進めていなければ、決して生まれても来ないし浮かび上がってくるものではないと思います。
今日もわずかな隙間を探して、がんばります。

2017年8月

言うは水に文字を描く、聞くは岩に文字を刻む

“言うは水に文字を描く、聞くは岩に文字を刻む”こんな言葉があります。
「言う者は、言葉を水に文字を描くように言うけれど、聞く者は、時にはその言葉で深く傷つくことがある。それは、岩に言葉を刻むように、心と体に刻み込み絶対に忘れることはない。」ということです。
今から30数年前、県内で大きな差別事件が起こりました。
何度も確認会や糾弾会が開かれました。
その中で差別発言者が、深い反省の中でこの言葉を引用して、「私が何気なく言った言葉(部落差別発言)が、いのちにかかわる言葉であったのです。そして、被差別の側にいる多くの人たちを深く傷つけたことを、確認会や糾弾会で知りました。はじめて、私に変わるきっかけを与えてくれました。」と語っています。
今、インタ―ネット上で、深刻な差別や人権侵害が頻発しています。
かつての事件の時代とは違って、差別者が誰かもわからず、その意図も背景も考えも何もわからないのです。
にもかかわらず、ネット上で差別が広がり助長され、共感する人たちさえ作り出しています。
これが今のネット社会の差別の現実です。
今は、かつての差別事件のような対応や営みが、できないし通用しません。
でも、ネットで起こっていることは、必ずネットで解決できると信じています。
解決していかなければなりません。
なぜなら差別は“いのち“にかかわる問題だからです。
ともにがんばりましょう!

2017年7月

だれもが安心して暮らせる地域社会を!

昨年7月26日、相模原市の知的障害者福祉施設「やまゆり園」で凄惨な殺傷事件が起こりました。
事件からもう一年を迎えます。
改めて亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。

なぜこのような事件が起きたのでしょうか?
私たちは、何度も事件をふり返り、二度と起きないように、自らのこととして考えなければならないと思います。
決して風化させてはなりません。

この事件の容疑者は、「障がい者は社会のお荷物」、「障害は不幸」、「障がい者はいなくなればいい」と発言しています。
信じられないことですが、インターネット上ではこの発言に同調する人たちがいます。
これが現実です。今の社会で起こっていることなのです。

市町村「啓発連協」では、毎年、奈良県内の差別事象調査を実施しています。
調査では、頻発する子どもたちの「ガイジ」発言(障がい者を差別する言葉)や、
動画サイトのヘイトスピーチをまねた外国人差別発言が報告されています。
子どもたちの言動に、障がい者や弱者を排除する私たちの社会が、鏡のように映し出されているのではないでしょうか。

2014年、日本は「障害者権利条約」を批准しました。
2016年には「障害者差別解消法」が施行、
奈良県では「奈良県障害のある人もない人もともに暮らしやすい社会づくり条例」が公布・施行されました。
私たちは、これらの法律を力にして、差別をなくし、
だれもが安心して生き生きと暮らせる地域社会を、みんなでつくっていかなければなりません。
「人権のまちづくり」を全力で進めましょう。

2017年6月

先人に学び、少し先を見て励もう!

チャールズ・チャップリン(1889年~1977年)は、イギリスの映画俳優、映画監督、コメディアン、脚本家、映画プロデューサー、作曲家など、さまざまな顔を持つ世紀の大スターです。
その時代や社会を風刺した数々のすばらしい作品(コメディ映画)で、今なおファンを魅了し続けているといいます。
そのようなチャップリンには、また、別の才能があったと言います。
それは、未来を予測することです。
オートメーションで物が作られることや携帯電話の時代が来ることなどが、自らの映画の中で既に取り入れられていたと言います。
ひるがえって、市町村人権・同和問題「啓発連協」は、30年前(1988年)、ひとりの行政職員の発想と未来を展望した想いのもと誕生しました。
それは、かつてない「行政啓発」という手法で、差別撤廃と人権確立をめざすこと、インターネット社会と人権問題のことなど、まさに、今私たちが直面しているおおきなテーマ(問題)を想い描いていたのです。
その感性と先見性にただただ敬服します。
このような、先人の姿に学び、つねに新たな発想や工夫を試みて、問題解決につとめ、差別のないよき日をめざしてがんばります。
 

2017年5月

記念日

今日は何の日?
カレンダーを見ても、手帳を見ても、さらに、ネットで調べてみても、まさに「毎日が記念日」となります。
5月だけで見ても、憲法記念日、みどりの日、こどもの日、母の日などたちまち出てきます。
そこに、個人の誕生日など思いの深い日があれば、まさに「毎日が記念日」ですね。「ありすぎてわからない。覚えていられない。」このような声が聞こえてきそうです。
でも、個人にも、組織や団体にも、忘れてはならない「記念日」があります。
差別と人権問題に取り組む、市町村人権・同和問題「啓発連協」にも、絶対に忘れてはならない記念日があります。
それは、「啓発連協」の誕生日である6月8日と、毎月11日は「人権を確かめあう日」の8月11日です。
8月11日は、1965年8月11日に「同対審」答申が出された日を記念しています。「11」を「1(ひと)1(ひと)」と読みかえ、「人は等しい」と考え、人権を考える大切な日としています。
そして、「啓発連協」は、今年、結成30年になります。
記念日には、それぞれに意味や歴史があり、みんなの思いや願いがいっぱい込められていると思います。
常にふり返り確かめあうことが、明日へとつながっていきます。
だからこそ、いつまでも大切にしていきましょう。
さて、今日は何の日?・・・

2017年4月

点から線、線から面へ

「自分の活動は、点の活動だ。でも、点で深くやれば必ず線になる。線で深くやれば必ず面になる。」これはある社会活動家の言葉です。
いよいよ4月がスタートしました。新しいスタートを切った方も多くいることでしょう。
自分の決めた道に、また、思い描く目標に向けてこの言葉のように積極果敢にチャレンジしていってほしいと思います。
自分の人生は自分でデザインできます。どうか熱い心もって一歩を踏み出してほしいと思います。
ところで、市町村人権・同和問題「啓発連協」は、今年結成からちょうど30年になります。
差別撤廃と人権確立という強く固い一点(原点)を定め、その道を歩んできました。
そして今、それが線となり面となり大きな広がりとなって、今につながり私たちにつながり、明日につながって「人権のまちづくり」に結びついていくものだと考えます。
この思いを胸に「啓発連協」も、今年新たな一歩を踏み出します。ともに頑張りましょう。

2017年3月

「人権」という名のスケール

先ごろ、「太陽系からおよそ40光年離れた宇宙に、地球と似た大きさの惑星が7つあると、欧米の研究者などで作る国際共同研究チームが発表し、水が存在するのかなど、地球のように生命が育むことができるのか見極める研究が期待されます。」というニュースが世界を驚かせました。
はたして生物が存在するのか想像は膨らみます。
太陽系で、いや宇宙で一番美しいと言われる地球、かつて見た宇宙ステーションからの中継映像は、まさに青く輝く美しい星でした。
しかし、この美しい地球上では、絶え間なく私たちを苦しめ悲しませる不幸な出来事が起こっています。
人の生命や尊厳は、どうすれば守ることができるのでしょうか。
今「人権」という名のスケールをこの地球という星にあてて、すべての人たちが、お互いの「いのち」を大切にする生き方について考えなければなりません。
私たち市町村人権・同和問題「啓発連協」は、「啓発」という方法で「人権」に長らく取り組んできました。
そして、これからもこの道を進んでいきます。このような一人ひとりの思いや願いをあらゆるとこらから発信していくことが大切です。
文字通りの青く美しい星、地球にしていきましょう。
七つの星に人はいるのかな?住みやすいところかな?・・・・・・

2017年2月

向かい風もまた良として!

“凧が一番高く上がるのは、風に向っている時である。風に流されている時ではない。”
こんなことばがあるそうです。
逆風を浮力に変えるということです。
人は何ごとも向かい風より追い風がいいと信じて、物事を進めてきたと言えますが、逆もまた真なりですね。
 
ところで、市町村人権・同和問題「啓発連協」は、今年30年目を迎えます。
ことばにすれば30年という長い年月も一瞬ですが、ふり返れば、きびしい向かい風の30年であったと思います。

しかし、それもこのことばを借りれば、私たちの「啓発連協」は、まさにこの向かい風を上手く力に変えて空高く上がって来たということかもしれません。
「啓発」とは、すべての人たちに強い問題意識を喚起して、解決に導くための手引きをすることです。
つまり、空高く上がった凧のように、少しでも遠くのひとりでも多くの人にその存在を認識してもらい、理解してもらうことが重要です。
あの手この手を駆使して、差別や人権侵害をなくしていかなければなりません。もちろん追い風は大いに利用して、向かい風もこれまた大いに良として、人権のまちづくりのための新しい風を起こしていきましょう。
 

2017年1月

3とりの精神で

新年あけましておめでとうございます。
皆さんにはどのようにお正月を迎えられましたか。
 
今年は酉年です。ニワトリのことだそうです。
毎日、夜明けに高らかな声で新しい朝が来たことを私たちに告げるあのニワトリのことです。
きっと皆さんは2017年のすばらしい夜明けを迎えられたことと思います。
今年は、酉(とり)年いろいろなことを「とり入れ、とり組んで、とり込む」一年にしたいものですね。
そして、酉(トリ=鳥)故に大きな飛躍の年にしたいですね。
「啓発」で大切なことは、常に発想やアイディアや工夫だと言われます。
この「3とりの精神」で新たなスタートを切りましょう。
 
うれしいことに、昨年から新しい風も吹いています。
人権の取り組みを進める者にとってうれしい風です。差別撤廃と人権確立を願う多くの人たちが待ち望んでいた「部落差別解消推進法」、「ヘイトスピーチ解消法」、「障害者差別解消法」また、「奈良県障害のある人もない人もともに暮らしやすい社会づくり条例」等ができたことです。長い間の多くの人たちの血と汗の成果です。
これらを糧として2017年は、おおいに活動を展開して行こうではありませんか。
「酉」の漢字には、「口の細い酒つぼを描いたもので、『酒』に関する字に用いられ、収穫した作物から酒を抽出する意味や、収穫できる状態であることから『実』も表し、果実が成熟した状態を表している。」というような由来があるそうです。
差別がなくなり人権が豊かに成熟した社会を早く実現しましょう。
 
2017年も頑張るぞ!

2016年12月

今年最高のひとことは・・・・!

今年ももう12月、あと一ケ月となりました。
時の流れは早く、また変化も激しい現代社会にあって、今年もあと少しで終わりますと言われても、
ふり返っている余裕などないと言われるかも知れませんね。
昔、童謡で歌われたような季節の風情も装いも感じることもないのでしょう。
 
でもこんな時代だから一度ゆっくりと、自分のこと、自分をとりまく人たちのこと等、
季節の移ろいの中で考えてみるのもいいことだと思います。
 
例えば、今年出会った人たちのこと。
どんな話をしただろう。
あの人のあのひとことは心に残ったなぁ。
うれしかった。でもあの言葉はつらかった。
また、自分はどんなことを言ったかな。
明るくなるような、うれしくなるようなことを言ったかな・・・
 
好きな飲み物でも飲みながら、好きな音楽でも聞きながら心静かにふり返りましょう。
あなたの今年最高のひとことを、来年はだれかに届けよう!

2016年11月

何かヒントがありますよ!

あることがきっかけで日記をつけることになってもう20年になります。
はじめは、備忘録として残して置くためのものでした。
それがだんだんその日の出来事やちょっとした感想や思い等も書き込む5年日記を楽しんでいます。
その日のことを書き込むときは、去年、一昨年のその日のことがひと目でわかり、しばし感慨に耽ることがあります。
これが日記をつけることの意味なのかと思っています。
20年分のふり返りが、今にどれだけプラスになっているのかはわかりません。
でも今日も明日も明後日もその紙面に文字が遊ぶことでしょう。
ところでどのような組織でも日記ではない過去の記録はあると思います。
それを時には眺めてみるというのも必要かと思います。
なにかきっと心に触れて響くものがあると思います。
「悩んで行き詰まったときは、これまで来た道をふり返ること。原点に戻ること」だとはよく言われます。
箴言ですね。
きっと何かヒントがありますよ。

2016年10月

10月は なら・ヒューマンフェスティバルに行こう!!

今年も「なら・ヒューマンヘスティバル」が近づいてきました。
市町村・奈良県・奈良地方法務局の共催で毎年開催しています。
今年は、10月29日(土)、河合町の奈良県立馬見丘陵公園北エリヤ(大型テント前)で開催です。
今年で22回目を迎えます。
奈良県内の各市町村を会場に差別撤廃と人権確立を願うNPOや福祉施設の人たちとともに広く親しみと味わいのある「人権イベント」としてつくりあげてきました。
人びとが出会い・ふれあい・語り合い、秋の一日を各種イベント、模擬店、物産展等を楽しみながらゆっくりと楽しんでいただきたいと思っています。
ちょうど見ごろの秋の花々もいっぱいです。
「おもしろそう。ちょっと行ってみよか!」で、ぜひお出でください。お待ちしております。
なお、詳しくは、このホームぺージでご案内していますのでご覧ください。
 

2016年9月

一工夫が変える、一工夫で変わる!

過日、素人がいろいろと芸術的(生け花、俳句、料理等)なことに挑戦して、その道のプロが評価・指導するテレビ番組が放映されていました。
見ていると、生け花に数名の方がチャレンジして、5種類ぐらいの季節の花を使い自己表現をした作品を完成させていました。
その後、プロが評価して、少し手直しをすると見事な出来栄えの作品になっていきます。
どの作品も一工夫で感動を与える作品となったのには、見ていて思わず唸りました。
 
ひるがえって、「行政啓発」を進める私たちもその道のプロです。
日々の取り組みについて、時には思いを巡らせることが大切です。
でも思い切った改革や新たな事業は、言葉で言うようにそう簡単には実現しません。
だからこれまでの取り組みにいま少し工夫を加えてみてはどうでしょう。
全体が大きく変わるかもしれません。気持ちに変化があるかもしれません。
少しの変化が大きな変化を生むかもしれません。
「何かを変える、何かが変わる」と念じて「行政啓発」に邁進しましょう!

2016年8月

宝の山へ登ろう!

毎年8月といえばお盆、先祖を偲んでお墓参りですか。
ふるさとへの帰省でしょうか。
また8月といえば「8.11」同和対策審議会答申(1965.8.11)が出された日、それを記念した毎月11日は「人権を確かめあう日」、「人は等しい」など、行政啓発を進める者は忘れてはならない「月」でもあります。
そこに、今年から「山の日」が設けられました。
山に親しみ感謝する日ということです。
日本には名山や霊峰といわれ、多くの人々に愛されている山がたくさんあります。
遠くからその姿を眺めるだけでも心が和みますね。
一方、現実社会にも見えないけれど「山」はたくさんあります。
行政啓発の行く手にも険しい山がそびえています。
越えてきた山もありますが、これから超えて行こうとしている山も見え隠れしています。
大変な山と思えば登る気も萎えてしまいますが、その山も宝の山と思えば気持ちも昂ります。
「必ず宝物(役立つ物)があるはずだ。」と思って。
さあ~しっかり装備をしてルートも見極め登り切るぞ!
 

2016年7月

自らを語ること

雨の時期になると思い出す光景があります。
今からもう数十年前のことです。
奈良県内のある自治体で差別事件が起こりました。
自治体あげての取り組みが何年か続き、一応の終結がされた時、この自治体の人権団体の会合が開催され、冒頭、その会の代表が挨拶をしました。
日本の童謡「あめふり」の「あらあら あのこは ずぶぬれだ やなぎの ねかたで ないている~」を引用して、長い間思ってきた自らの境遇と重なる胸の内を吐露したのでした。
「傘など買えるわけがない。まして、迎えなどのぞむべくもない。いつもずぶぬれだった。」
それは今でいえば「経済的格差」のことでした。幼少の頃の話として披露しました。
大人になっても忘れられない「くやしかった思いをやっと言うことができた。それも大勢の人の前で。」挨拶終了後の本人の表情は、そう見て取れました。
差別事件からきびしい差別の現実を知り、そして学ぶことが、この事例のように、それに共鳴共感して意識を高め、自らの誰にも話すことがなかった思いを語らせたといえるかもしれません。
差別の現実から学ぶことの大切さを改めて痛感します。

2016年6月

さぁー明日にトライ

先日テレビを見ていると、ある大学の先生が今大人気のラグビーについて面白く解説していました。
「ラグビーのルールはいろいろあるけれど、基本はボールを常に後ろにパスして前に進むことである。矛盾しているが、どこか人生にも似ている。」とのことでした。
この言葉がとても印象に残りました。ラグビーの見方が少し変わりました。
確かに人生も常に過去をふり返りながら前に進んでいると言えます。
いろいろな過去の上に未来があるとも言えます。
ひるがえって差別や人権侵害問題も、常にこれまでの歩みや取り組みをふり返らなければ、前進はないと言えます。
私たちが歩いてきたこの道に、きっとこれからを照らす何か手がかりがあると信じています。
さあー明日にトライしましょう。

2016年5月

大切な風景

「人は最も大切な風景から逃れることはできない。もしくはその風景が人を生かし続ける。」
こんなことばが、最近読んだ本にありました。
嬉しい出来事、つらい出来事、悲しい出来事・・・と人それぞれのことでしょう。
でもその風景が人生のエネルギーとなり糧となり未来につながることもあるでしょう。
過去の風景がいきたい未来を導いてくれるかもしれません。
その若者は、ひとつの事件がきっかけで人権を深く考えるようになりました。
「私たちは人間とちがうのですか」との古老の叫びに胸を打たれました。
「差別は人間の尊厳を奪ってきたのだ」と、はっと気づくものがありました。
あの時からもう何十年。これまでこんな風景をいくつ見ただろう。
大切な風景を忘れない。

2016年4月

一杯のコーヒーはいかがですか

今日も一人のお客さんがありました。
「あら、お久しぶりです。まあーどうぞ」といってソファーに案内。
すぐにあたたかいコーヒーをお出しすると
「ありがとう、おいしいわ、愛情もたっぷり入ってるみたいで?」
「もちろんたっぷり入れております」
「うん、とってもうまいわ・・・」
笑いとともにいっぺんにその場が和みます。何気ないこんな会話に“こころがほっとした”ひと時でした。
 
どこにでもあるだろう日常の景色です。でも、平和で人権が守られている社会という条件付きなのかもしれません。
いよいよ春本番ですね。一杯の幸せを感じるコーヒーはいかがですか。いやなことは忘れてホットしましょう。
 

2016年3月

コロンブスの卵を求めて

 コロンブスの卵のお話をきかれたことがありますか?
 「大陸発見はだれにでもできると評されたコロンブスが、卵を立てることを試みさせ、一人もできなかった後に、卵の尻をつぶして立てて見せた。」という逸話です。
 そこから、だれでもできそうなことでも、最初に行うのはむずかしいという例えです。
 きびしい差別に立ち向かうひとつの方途として1988(昭和63)年6月8日、市町村人権・同和問題「啓発連協」は誕生しました。「行政啓発」という手法で差別のない世の中を実現していこうと考えたのでした。そして、「同対審」答申(1965年8月11日)に因んだ、毎月11日は「人権を確かめあう日」の取り組み、4・11(人は等しい)県内一斉集会などを考え出し、また、「てんいち先生、ひかりちゃん」という人権キャラクターも誕生させました。これらはまさに人権におけるコロンブスの卵というべきものであったと思います。この時から29年の歳月が流れ、ますます変化する時代において、コロンブスの卵(新たな発見や手ががかり)は求められています。早く2つ目3つ目の卵を見つけ出し「差別のない人権が豊かな社会」を創造していかなければなりません。
 

2016年2月

すべてのみちはローマに通ず!

「ローマ帝国の全盛時代、世界各地からの道がローマに通じていたの意。転じて、一つの真理はあらゆることに適用されるということ。(小学館国語大辞典から)」ということわざがあります。よく知られたことわざです。真理に行き着くには、決して経路(道)は一つではなく、試行錯誤しながらもいろいろな方法(道)があるものです。いま私たちは29年前につくられた道を「啓発」というコンパスを唯一のよりどころにして、ローマ(人権があふれる社会)をめざして歩をすすめています。
 私たちはこれまで「差別撤廃と人権確立」のためにいくつもの道があることを学んできました。私たちはこの「啓発」という道が確かと固く信じています。めざす方角と目的地ははっきりとしているのに、そこまでの距離と時間はだれにもわかりません。ただわかっていることは休むことなく一歩一歩その歩みを進めることだけです。
 ふり返れば歩んできた一本の道がはっきりと見えます。これまでのことが胸の中で交差します。しかし、立ち止まって感慨に浸っている余裕はありません。
 さぁ、こころ引き締めてローマをめざそう、もう一段ギアーアップして!
 

2016年1月

バック・トゥ・ザ・フューチャー

 新年あけましておめでとうございます。皆さんにはどのようにお正月を迎えられましたか。突然ですが、1985年のアメリカSF映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」をご存知でしょうか。ひとりの高校生と科学者が、スーパーカー・デロリアンというタイムマシンで、過去と未来を自由に行き来していろいろな出来事に遭遇するという痛快SF映画です。大ヒットした映画ですのでご存知の方も多いことでしょう。
 このように人間は、いつか時空を自由自在に移動できればどんなに楽しいかと考えてしまいますね。もし可能ならあなたならどんなことをしたいですか。怖いけど未来の自分を見てみたいとか、過去に戻って誰かに会ってみたいとか等・・・思いはどんどん膨らみますね。でも2016年現在、そしてず~と先を見渡してもたぶん時空移動は無理だと思います。
 物体(身体)は移動できなくても、人間には心(意識)があります。これは自由自在にタイムトラベルが出来るのです。人間だけが持つ特別な能力です。過去の出来事や経験によって、未来を明るいものにできます。希望を抱き、夢を持つことができます。それを実現することもできます。だれでもこの映画のように「バック・トゥ・ザ・フューチャー」できるのです。
 だとすれば2016年は、どんな夢をもち希望を抱きますか。争いがなくなり平和に暮らせ、飢餓や貧困もなく、お互いが認め合えるそのような社会でしょうか。
 市町村「啓発連協」の精神である「毎月11日は人権を確かめあう日」(人は等しい)は、水平社宣言、同対審「答申」と、まさに過去に旅して学んだ遺産です。「ヒュ―マンライツ・バック・トゥ・ザ・フューチャー」して手に入れた宝物です。2016年は申年、孫悟空の「如意棒」のように宝物をおもいっきり操るぞ!
 真に「人は等しい」社会をつくるために。
 

2015年12月

人権尊重衛星

 今から50年ほど前、まだ人工衛星が珍しい時代、「水平社宣言」を起草した一人の西光万吉さんは、日本を含むいくつかの国々が、教育専門の人工衛星を打ち上げると聞いてこんな話をされました。
 人工衛星からの最初の放送は、「おたがいに人権を尊重しましょう」という言葉からはじめて、
 世界人権宣言30周年記念には、国際連合から「人権尊重衛星」を打ち上げて、
 「おたがいに人権を尊重しましょう」と世界中に同時放送していただきたい。
西光万吉さんならではの言葉です。
 2015年の今、地球のまわりには無数の人工衛星が飛び交っています。つい先日も、国産ロケットの打ち上げが成功し、商業衛星が軌道に乗ったとニュースになったばかりです。残念ながら「人権尊重衛星」は実現していませんが、新しい情報技術のインターネットを使って、ひとりの人が世界中に、「おたがいに人権を尊重しましょう」と呼びかけることができるようになりました。
 いつの時代も、人間の尊厳を奪うのも、尊厳を守るのも、また人間です。一日も早く、すべての人が尊重されて生きている社会を実現して、人権尊重衛星を願った西光万吉さんに、星空から眺めてもらいたいですね。 

2015年11月

レガシー(遺産)を糧として 登り切ろう

 レガシ―と言う言葉を最近何度か聞きました。「遺産」という意味だと知りました。「先人から受け継いだもの」とか「前代の人々の業績」などでしょうか。
 ところで、今年6月に90歳で死去した京都の世界的な企業、堀場製作所創業者の堀場雅夫さんが、生前『京都は人を育てる「旦那文化」が根強く、起業しやすい。また、京都には伝統工芸の職人や技術者が多く、高度な技術の集積というベースキャンプが8合目にあるのでゼロから山に登る必要はない。』と語っていたと(2015年7月17日付毎日新聞朝刊)にありました。
 ひるがえって、奈良の差別と人権の歴史を考えてみるとどうでしょう。水平社創立から93年、奈良県人権教育研究会結成から63年、奈良県人権教育推進協議会結成から52年そして、わが「啓発連協」は結成28年目を迎えています。
 差別撤廃と人権確立に向けて立ち上がってきた多くの先達がいて、集積したその技術と方法もあります。奈良は堀場さんが言う何合目にベースキャンプがあるのかわかりませんが、少なくても半分のところからは、登ることができると確信します。
 先輩先達が営々と築いて来てくれたレガシー(遺産)をおおいに活用して、差別撤廃と人権確立に向けて努力していくことが、21世紀に生きる私たちに強く求められていると思います。同時にこの精神を受け継いでいくことも大切です。明るい未来のために・・・。

2015年10月

秋の声

 俳句の季語である「秋の声」、「物音がさやかに聞こえること。風やせせらぎなど自然の音ともかぎらず、人とのたてる物音とも限らない。具体的なおとばかりではなく、心の中に響いてくる気配もまた、秋の声である。」と俳句歳時記では、解説しています。
 俳句は嗜(たしな)まなくても、深まる秋の気配は、誰もが感じるものでしょう。あの暑かった夏も遠い記憶となりました。静かな静かな秋の夜、自らの胸に手をあてて、心の中に響いてくる気配や意識を感じてみませんか。
「話を聞いて、人権意識に目覚めて取り組んでみようと思いました。」「日頃悩んでいる自分の背中を押してくれたように感じました。」ある事業のアンケートの声でした。こんな秋の声、いっぱい聞きたいなぁ。感じたいなぁ。またどこかで秋の声が・・・

2015年9月

つながりを大切に!~認めあい 許しあい~

 「サルも類人猿も一度群れを離れると、めったに群れに戻ることはない。不在の間に新しい社会関係ができてしまい、元の関係に戻れなくなってしまうからだと考えられている。無理やり戻ろうとすると仲間たちから攻撃を受けて追い出されてしまうからである。このサルや類人猿の社会に比べると私たち人間社会は、数十年の不在もまるでなかったかのように受け入れてもらうことができる。なんと許容に満ちた社会を作ってきたことか。しかし、これも人類がやっと最近到達できた仕組みなのではないだろうか。」と霊長類学者の山極寿一さんがコラムで書いています。
 ところで今は、便利な道具として定着したインターネットが私たちの社会を席巻しています。スマホ、LINEが“今“の関係を強く求めるようになり、人間の信頼が過去ではなく現在の関係によってしか得られないという風潮になっていないでしょうか。ITの時代がどんなに進化しても、主人公はやっぱりあたたかい血の通った人間です。お互いを認め合う許しあう本来のつながりを大切にしていきたいものです。
 
山極寿一さんのコラムは、ご本人から許可を得てご紹介させていただきました。

2015年8月

わすれえぬ日々  あの日のことを繋いで・・・・

《六二三(ろくにいさん)、八六八九八一五(はちろくはちきゅうはちいちご)、五三(ごさん)に繋(つな)げ我(われ)ら今生(い)く》。
 これは朝日歌壇賞を受けた西野防人(にしのさきもり)さんの一首です。この歌の意味が、わかりますか?
 「六二三は沖縄戦終結の日で、八六と八九は広島と長崎に原爆が投下された日、八一五は終戦、そして、五三は新憲法施行の日」と2015年6月25日付朝日新聞「天声人語」で紹介されていました。
 今年は、「戦後70年」です。今年になってこの言葉を聞かない、見ない日はないと言ってもいいぐらい新聞、テレビで取り上げられ、「戦争の意味」をわたしたちに問いかけています。
 これまで、わたしたちは「戦争は最大の人権侵害である」と訴えてきました。「いのちと人権」を何よりも大切にして取り組んできました。この西野防人さんの歌がとても強く胸に響いてきます。
 そして、わたしたち「啓発連協」は、この歌の「五三」に続けて「八一一」と「六八」を加えさせてもらいます。「同和対策審議会答申の日」1965年8月11日(人権を確かめあう日の原点)と「啓発連協結成の日」1988年6月8日です。すべて合わせて「平和・いのち・人権」の日、時代はどんなに変わっても決して風化させてはなりません。今を生きるすべての人たちの使命として、繋いでいきましょう。
西野防人さんの歌は、ご本人、朝日新聞社から許可を得てご紹介させていただきました。
朝日新聞承認番号(24-2053)
朝日新聞社に無断で歌を転載することはご遠慮願います。

2015年7月

今年も 7月は「差別をなくす強調月間」です こだわって続けていくことを大切に

 デジタル時計を見ていると、時を刻む数字にとても切迫感を感じます。現在は、これほどに早く時は、過ぎていくのかと。
 こうして過ぎ去った幾星霜、「同和対策事業特別措置法」という法律は、「同対審」答申の4年後の1969年7月10日に公布施行されました。今から45年前のことでした。
 奈良県では、このことがきっかけとなり「同和問題を国や地方自治体はもちろん、国民一人ひとりが自分自身の課題として捉え、解決に向けて努力しよう」と、この法律の出された7月を「差別をなくす強調月間」として、県をはじめとして各市町村でも取り組まれるようになり現在に至っています。
 時は立ち止まってくれません。しかし、わたしたちは、時には立ち止まりふり返って、これまでの反省や総括が必要ではないでしょうか。なぜならばこれからの方向性や行き方につながっていくからです。昨年はこうであったが、来年はこうしていくのだと考え思いを巡らすことが必要ではないでしょうか。
 差別は人の生命にかかわる問題です。一日も早く撤廃するよう努力していかなければなりません。歴史の節目にあたってのこんな思いが、また新たな一歩になると信じます。
 「差別をなくす強調月間」を長年積み重ねてきた意義もまた、ここにあると思います。改めてこのことを確認しようではありませんか。
 

2015年6月

咲かせよう大きな花を!~せっせと蒔こう人権の種~

 バラ、アジサイ、菖蒲、アヤメ、ツユクサ、・・・・の花々、みかん、リンゴ、クリ・・・の木の花々。今を盛りに咲き誇る花たち。まさに百花繚乱とは、今を指して言うのでしょうか。でもこの花たちも今年やっと開花したものもありましょう。いつの日かに蒔かれた小さな小さな種が、長い時を経てやっと花をつけたのかもしれません。しばらく見とれていたいですね。
 ところで、奈良で「人権啓発」という小さな種が蒔かれたのは1988年のことです。今から27年前の6月のことでした。以来、毎月11日は「人権を確かめあう日」の取り組みを柱として、「差別を許さない」という社会的雰囲気をつくり、確かな「人権啓発の土壌」を育んできました。今、かつて蒔かれた種たちがあちらこちらで花を咲かせています。この人権の花が一面に咲き誇っていることが、わたしたちのめざす「人権のまちづくり」です。
 せっせと蒔きましょう人権の種を、いつかきっと花が開きますよ。ちょうどこの季節のように・・・・

2015年5月

発想の転換を!~やわらかくしなやかに~

 すこし古い話になり恐縮ですが、2015年の選抜高校野球大会は、北陸の高校が春夏通じてはじめて優勝旗を手にしました。
「冬場は、雪でグラウンドでほとんど練習ができないという状況の中での栄冠は、厳しい冬と闘うすべてのチームにとって、大きな励みになるはずだ。」とメディアは報じています。また、「グラウンドが使えないかわりに、一日700回バットを振り打撃を強化した。『考え方の転換、出来ることをやる』を実践してきた。」関係者のことばも紹介しています。
 さて、28年目を迎えた「啓発連協」も常に「考え方の転換、出来ることをやる」を取り組みのベースに置いて実践してきたと言えます。発想やアイディアというものは、一朝一夕に雲や霧のように浮かんだり湧いてくるものではありません。原点に求める心が必要です。
 「差別をなくしていきたい。人権をまもっていきたい。」という強い思いと願いが必要です。
このチームのように、マイナスもプラスに変えていくやわらかさやしなやかさを、自らの中に養成していきたいものです。21世紀のあらゆる人権侵害克服のために全力で頑張りましょう。

2015年4月

一歩を踏み出そう

 NHKのBS放送で「グレートトラバース~日本百名山一筆書き踏破~」という番組を放映しています。
 31歳の若者が、総移動距離7800キロ、累積標高差10万メートルを200日(7ヶ月)間かけて「日本百名山」に、“人力のみ、一筆書き”でチャレンジする壮大な旅に完全密着した物語です。九州は鹿児島県の屋久島・宮之浦岳(1936m)からスタートして、北海道、利尻島の利尻岳(1721m)までの100の山々を一つ一つ歩いて繋ぎきる旅です。文字通り前人未到の挑戦でとんでもない企画です。山ガール山ボーイでなくても心が揺さぶられます。

 こんな仰天するような発想と企画だからこそ、テレビの密着取材となり多くの人に感動や勇気、元気そして冒険心まで与えているのではないかと思います。

 ひるがえって、私たちの“啓発”という取り組みも、時にはこのような大胆な発想と企画が必要です。多くの人たちに注目してもらい、強烈な刺激や感銘を与え、心を揺さぶらなければなりません。人の心の内に届かなければなりません。「あんなことなら私も・・・・」は、後の祭りです。その道を歩んでいれば、きっと日常の中で通り過ぎる思いや考えがあると思います。それをキャッチするのです。「そんなことはできない。とてもダメだ。」は、戒めていきましょう。マイナス思考では、未来はありません。

 さぁ 今から新しいチャレンジへ出発しましょう。すべては一歩から始まります。

  「啓発連協」の2015年度が動き出します。

  「あなたとわたしの新しい一歩を」今年度の目標です。よろしくお願します。

奈良県市町村人権・同和問題
啓発活動推進本部連絡協議会
〒634-0061
奈良県橿原市大久保町302-1
奈良県市町村会館1階
TEL.0744-22-9611
FAX.0744-22-9711

差別や人権侵害を許さない、
人権尊重のまちづくりをめざし
取り組んでいます。

 
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