インターネット掲示板差別書き込みについて

 

「奈良県インターネット掲示板差別書き込みについて考えるプロジェクト会議」とは

「奈良県インターネット掲示板差別書き込みについて考えるプロジェクト会議」とは
 
  「奈良県インターネット掲示板差別書き込みについて考えるプロジェクト会議」(プロジェクト会議)は、インターネット上の掲示板に横行・氾濫する差別書き込み事象問題を重大な社会問題として捉える中で、社会的・組織的な取り組みを展開していくために、奈良県市町村人権・同和問題「啓発連協」が奈良県内の関係機関や団体などに呼びかけて結成した組織です。
 2000年ごろから、わたしたちのくらしの中にインターネットがどんどん普及してきました。
 ホームページを見たり作ったり、メールをやりとりしたり、ネットショップで買い物をしたり、ネットオークションをしたりと、さまざまな場面でインターネットを利用するようになりました。たくさんの人がいつでも、どこでも、情報を発信し受信することができる。インターネットの「光」の部分と言えます。
 その便利さを享受する中で、インターネット上の掲示板等に誹謗中傷の書き込みや、差別書込が多数あるという状況が見えてきました。被差別部落やその出身者、在日コリアン、障がい者、ハンセン病回復者、女性、高齢者などのいわゆる社会的にさまざまな形で厳しい立場に置かれている人々に対して、憎悪と侮蔑、予断と偏見をもって誹謗・中傷する極めて悪質な差別書き込みが横行・氾濫するようになりました。
   
   2001年には、「2ちゃんねる・人権問題」という掲示板上に、「池田小学校児童殺傷事件」と「明石花火大会事故」に絡んで、部落差別や在日コリアン差別に結びつけて被害者を嘲笑うという極めて悪質な差別書き込みが行われました。
 悲惨極まりない事件でさえも、差別に結びつける書き込みに対して、心底から怒りと憤りを覚えたわたしたちは、組織をあげてこの差別書き込み事象問題に取り組むことを決意したのです。
 2001年12月に「設立準備会」を開催、2002年2月5日に80数名の賛同者が結集して「奈良県インターネット掲示板差別書き込みについて考えるプロジェクト会議」を正式に発足しました。
 2003年4月には「インターネットステーション」を設置しました。奈良県内の各自治体職員、教員、NPOなどの市民団体関係者等々の有志の人たちで構成されたチームによるインターネットステーション活動を中心に、今日までさまざまなとりくみを展開してきました。
 2004年6月11日開催の第1回シンポジウムで行った「五つの決議」をふまえ、これを具体化するために次のような活動を行っています。
   
①インターネットステーションでのチーム活動
②インターネット掲示板上の人権侵害事象の実態と動向の把握(モニタリング活動)
③人権を侵害した書き込み記事の削除要請
④関係方面への働きかけ(関係機関・団体への通報と、各組織としてのとりくみを要請)
⑤シンポジウムを開催(年1回)
⑥関係機関・団体等との連携
⑦学習会・研修会の開催
 

「差別書き込み事象問題」とは

「差別書き込み事象問題」とは
 
   パソコンが普及し多くの人々がインターネットを使うようになったことにともない、インターネット上の掲示板において、被差別部落及びその出身者、在日コリアン、障がい者、ハンセン病回復者、女性、高齢者などのいわゆる社会的にさまざまな形で厳しい立場に置かれている人々に対して、憎悪と侮蔑、予断と偏見をもって誹謗・中傷する極めて悪質な差別書き込み事象が横行・氾濫するようになりました。
 この問題に対するわたしたち「プロジェクト会議」の基本認識は以下のとおりです。
 
   電子掲示板上の差別書き込み事象も含め、インターネット上に横行・氾濫する差別情報は、言うまでもなく、差別落書き・差別投書・差別電話等と何ら変わりない現実の差別事象である。
   ましてや、今日の高度技術情報社会にあって、インターネットの特性や、国民の過半数を超える利用率から見て、人々に与える影響度は計り知れないものがあり、この事象はまさに人間の尊厳を侵す極めて深刻かつ重大な人権問題である。
   したがって、これは直接的当事者間の問題だけではなく、けっして見過ごしできない重大な社会問題である。
 
 

「差別書き込み事象」の実態から

「差別書き込み事象」の実態から
 
   プロジェクト会議では、2002年度、差別書き込み事象の実態を数値的に把握する試みを行い、結果、極めて悪質な差別書き込みの中で75.8%が部落差別にかかわるものであったということを明らかにしました。
 言うまでもなく、インターネット上の掲示板でやりとりされる意見交換等は現実社会の出来事であり、社会意識が反映していると言えます。そういう意味からも、この数値は「被差別部落に対する差別意識は、今なお厳しく日本社会に存在する」ということを示すものであり、とりわけ行政職員はこの数値を直視しなければならないと思います。
 最近のインターネット上の差別事象は、悪質の度合いを増していると言えます。
 外国のプロバイダを介してホームページを立ち上げたり、あるいは個人が差別サイトを開設したり、また、ストリートビューなど新しいサービスがはじまると、いち早くそれを悪用した差別書き込みを行うなど、目に余るものがあります。
 いずれも発信者自身は巧妙に正体を隠しながら、露骨な差別表現で特定の地域・個人・団体等を誹謗中傷するという、実に卑劣で反社会的な行為です。
 また、通信回線が大容量高速化されるにともない、動画を用いて差別情報を流す行為があらわれています。デジタル技術の進歩により、動画の撮影や録音が誰にでも簡単に行えるようになってきました。
 特殊な機材がなくても、スマートフォンなど携帯電話やデジタルカメラ、ICレコーダーなど、身近で手軽な道具で撮影や録音が可能になっています。動画と音声が持つ発信力は軽視できません。ひとたびそれが差別を助長するようなマイナスのイメージを広めることに使われると、今までの掲示板への書き込みとは違った影響力があると考えられます。
 動画サイトをよく利用する青少年層を含めて、人々に与える影響は極めて大きいと危惧しています。長年の労苦のもとで積み上げてきた人権尊重、差別撤廃の広まりや深まりに背を向ける悪しき行為になりかねません。今後も十分に注意をはらっていかねばならないと考えます。
 
 

「五つの決議」とは

「五つの決議」とは
 
   2004年6月10日・11日に全国同和教育研究協議会分野別研究会が橿原市の「かしはら万葉ホール」において開催されたのを機に、その二日目に「これでいいのか“表現の自由” 何でもありのインターネット掲示板を斬る!」をテーマに第1回シンポジウムを開催しました。
 県内外からの参加者とともに、このシンポジウムの最後に参加者一同で次の決議を行いました。それが「五つの決議」ですが、まさにこの決議の内容こそが、わたしたち「プロジェクト会議」が取り組む方向性を明確に示していると言えます。
   
 
参加者一同による五つの決議
 
   今、わたしたちの社会では、インターネットが急速に普及し、家庭・職場・学校のパソコンや、携帯電話などを窓口として、大変身近なものになってきています。
   今までは考えられなかった、大量の情報をやり取りすることが可能となり、また、個人が不特定多数の人々に向かって自由に意見を発信できるようになりました。
   インターネットは、場所や時間、年齢、性別、国籍などさまざまなものを超えて、世界中の「人」と「人」をつなぐ画期的なシステムで、近代社会にはなくてはならないものとなっています。
   しかしながら、一方で、インターネットの特性である「自由」を悪用し、「匿名」を隠れ蓑にして、ネット上の掲示板などへ有害情報を流したり、個人や団体を誹謗中傷したり、差別書き込みを繰り返して差別を助長・煽動するといった事象が頻発し、個別の人権侵害が日常的に横行しています。
   これらは、憲法で保障されている「通信の秘密」を隠れ蓑に「表現の自由」を盾とした、見過ごすことのできない人権の侵害にほかなりません。
   インターネットにつながった端末の前には必ず「人」が存在しています。現実の社会で許されない行為は、インターネットの世界でも決して許されるものではありません。
   このようなインターネット上における差別書き込みなど、人権侵害行為を許さないためにも、次の取り組みが必要です。
 
   ①インターネット掲示板の差別書き込みを許さない世論を高め、全国的な機運とうねりをつくること。
   ②人権侵害にかかわる書き込みに対して削除要請を強く求めていくこと。
   ③悪質な書き込みに対して法的手段をとること。
   ④より確かな法的整備を求めること。
   ⑤差別書き込みに対して勇気をもって反論する輪を広げること。
 
   わたしたちは、インターネット上における人権侵害行為を許さない、「基本的人権」が尊重された社会の実現をめざし、以上の取り組みを進めていくことを決議します。
 
 
 

毎年シンポジウムを開催しています

毎年シンポジウムを開催しています
 
   2004年第1回シンポジウムから、インターネットの光と影がわたしたちのくらしにどのような影響をもたらすのか、どのように対応していくのかをテーマに、毎年シンポジウムを開催してきました。
年・回数 テーマ
2004年 第1回 これでいいのか 「表現の自由」 ~何でもありのインターネット掲示板を斬る~
2005年 第2回 これでいいのか 『情報化』社会~「ケータイ」電話をめぐる有害情報を斬る!
2006年 第3回 高度技術情報化社会の“光”と“影”~人権侵害の現実は今~
2007年 第4回 これでいいのか 『メディアリテラシー』 ~混迷するインターネット社会を斬る~
2008年 第5回
これでいいのか 「ケータイ」時代
        ~何でもありの〈学校裏サイト〉・〈プロフ〉を斬る~
2009年 第6回 これでいいのか “人権感覚” ~何でもありの情報化(ネット)社会を斬る~
2010年 第7回 これでいいのか “ネット社会” ~子どもやくらしに迫る闇と影を斬る~
2011年 第8回 これでいいのか インターネット・ケータイ時代 ~「影」を「光」に~
2012年 第9回 これでいいのか インターネット社会 ~進化する高度情報技術の暗闇に迫る~
2013年 第10回 これでいいのか ネット社会の“今” ~確かめあいましょう たいせつな「人権」を~
2014年 第11回 これでいいのか ネット社会の現実は ~スマートフォンの光と影を追う~
2015年 第12回 インターネットをはじめ個別の人権侵害の今を斬る ~「同対審」答申50年の軌跡~
2016年 第13回 ネット社会 拡大する人権侵害の今を斬る! ~人と人との豊かなつながりを求めて~
 
   
  本年度は、2016年8月10日に、上牧町文化センター ペガサスホールで、第13回シンポジウムを開催しました。コーディネーターに日本労働組合総連合会奈良県連合会事務局長 西田一美さん、パネリストに部落解放同盟奈良県連合会 書記長 伊藤満さん、インターネットプライバシー研究所会長 高木寛さんをむかえ、「ネット社会 拡大する人権侵害の今を斬る!~人と人との豊かなつながりを求めて~」をテーマに、それぞれの活動からお話をしていただきました。これまでの12回のシンポジウムでは、差別書込やケータイによる「いじめ」、「スマートフォン」の普及によるLINEなどSNSの問題を取り上げ、ネット社会の「影」に警鐘を鳴らしてきました。
 
 今年はネット上の差別書き込みやヘイトスピーチなどを取り上げ、それぞれの活動のなかでの課題を語っていただきました。インターネット社会の今、これからの「人権のまちづくり」に向けて改めて課題を確認しあえたと思います。
 会場には、たくさんのみなさんにご参加いただき、多くのことを学べる機会になったとの反響をいただきました。今後も、このようなシンポジウムを継続して開催し、人権が守られるネット社会の創造に努力していきたいと考えています。

 

 

いま、子どもたちが危ない!

いま、子どもたちが危ない!
 
   ここ数年の間に、単なる電話機能を超えた多種多様な機能を備えた「ケータイ」電話が登場し、インターネットにも簡単にアクセスできるようになりました。多くの人々は普段は何も意識せず、便利な通信手段である携帯電話を利用しています。
 しかし、誰もが、ある日突然、有害情報に接したり、いろんなトラブルに巻き込まれたり、あるいは人権侵害を受けたりする可能性があります。便利な半面、一方では放置できない問題が浮上してきています。
 とりわけ、新聞やテレビで報道されているように子どもたちを取り巻く状況には極めて危険な事態が進行しています。
 子どもたちがときには“被害者”、ときには“加害者”として、高度技術情報社会に翻弄される事象が全国各地で頻発しています。
   
おとなと子どもとの間で認識のずれが‥
   保護者が子どもに携帯電話を買い与える背景には、社会の安全神話が崩壊するなかで、「携帯電話は、いつでも連絡がとれて便利な“電話機”である」という保護者の思いがあります。
 一方、子どもたちは「メール送受信」「ネット接続」ができる情報機器として、つまり手軽に持ち運び可能なコンピューターとして認識し、肌身離さず使っています。ここで既に保護者と子どもとの間に認識のずれが生じています。
 保護者がこのずれに気付かずにいると、問題が生じた際にも保護者として適切な助言が行えず、対応を誤ったりして思わぬトラブルを招くことがあるのです。
 子どもたちが「ケータイ」を使うことによって、保護者の知らない間に有害サイトに接続し、悪影響を受けたり、トラブルに巻き込まれたりすることが現実に起こっています。
 これを、群馬大学教授の下田博次さんの言葉を引用すると「バイパス・チャンネル」といいます。子どもに携帯電話を与える場合、この点をよくふまえて、子どもとよく話し合い、利用のルールを決めておくことが必要でしょう。
   
さまざまな社会的取り組みのなかで‥
   世論の高まりを受け、携帯電話各社においては有害サイトへのアクセス制限サービスを無料化する取り組みも始まっています。
 また、警察や青少年健全育成分野、学校現場においても、さまざまな取り組みが積極的に展開されています。有害サイトの危険性やフィルタリング・システム等の防御方法については、あるていど人々に知られるようになりました。
 しかし、有害サイトへのアクセスを制限するフィルタリング・システム等を使っても、けっして万全ではありません。
 2010年には、「健全」と認定されてフィルタリングの対象外になっている「非出会い系」サイトを通じて、子どもたちが犯罪被害にあうという事例が報告されています。
 「非出会い系」は、交流サイトや自己紹介サイト『プロフ』、ゲームサイトなどを指します。
 「非出会い系」サイトが悪用されていると言えます。
 また、「有害情報から子どもを守る」という視点だけでは、ネット上(ケータイ・サイトも含む)に横行する人権侵害事象には対処できません。
 子どもが「加害者」となる場合もあるのです。奈良県教育委員会の報告によると、奈良県内の小学校・中学校・高校のいわゆる「学校裏サイト」や「プロフ」などで、相手を誹謗中傷する問題ある書き込みが2540件発見されたとあります。
 子どもたちの中で、相手の名前・学校名・住所・携帯電話番号・メールアドレス・顔写真を無断掲載して“いじめ”を行う人権侵害事象が増加しているといえます。
 この問題に取り組む際には、「青少年の健全育成」という視点とあわせて、これまで取り組まれてきた「人権確立の営み」という視点の両輪で臨むことが必要です。
 その一連の取り組みが相まってこそ、子どもたちのメディアリテラシーが醸成されていくと考えられます。
 
 
もしも、あなたや家族、生徒がネット被害にあった時は‥‥
 
少なくとも、次の行動を!
○まず、そのサイト名や内容などをコピー保存する。(プリントアウトも)
 ※ケータイサイトの場合は、その画面をデジタルカメラ等で撮影し保存する。
○学校生活や仕事関係で被害にあった場合は、管理職に報告し組織的な対応を!
○関係機関に通報または相談する。
 ☆犯罪に関するケースは→警察へ
 ☆子どもに問題が生じた時は、県警少年サポートセンターへ
  ・県警本部少年サポートセンター:℡0742-22-0110
  ・中南和少年サポートセンター  :℡0744-27-4544
 ※いずれも月曜~金曜 8:30~17:15まで
 
☆人権侵害に関するケースは→最寄りの法務局、住所地の市町村役場の人権担当課へ
 
 
さらには‥!
○そのサイト管理者またはプロバイダに対して、削除要請を行う。
 なお、削除を求める方法はいろいろな方法があります。
 ただし、サイトによっては独自のルールを設け、削除要請も公開を原則とするようなものもあり、この類は問題ある書き込みをさらに増やす場合もあるので慎重に対処する必要があります。基本的には「プロバイダ責任制限法」を根拠に文書で行うことが適当ですが、この場合は指定様式がありますので、詳しくは法務局等の関係機関にたずねるか、または(財)インターネット協会のサイトを参照してください。
 また、ケータイサイトについては、多くの場合、比較的安全にサイト管理者に直接削除要請が行えると思います。
 ただし、警察や弁護士等に相談している場合は、証拠保全などのこともあるため、その関係先の助言に従ってください。
 ただ、被害相談を受ける関係者は、「削除されない間は延々と被害を受け続ける」という被害者の過酷な状況をけっして忘れてはなりません。
○法的手段をとる。(弁護士など法律の専門家に相談しながら)
<<奈良県市町村人権・同和問題啓発活動推進本部連絡協議会>> 〒634-0061 奈良県橿原市大久保町302-1 奈良県市町村会館1階 TEL:0744-22-9611 FAX:0744-22-9711